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2013年01月13日

『天使轟臨』 シャイニー日向 リアクション06 Part1

西暦20X1年、冬。

運命の悪戯が数多の邂逅を生み、神々の遊戯が無限の苦悩を閃かす。

何もかも得ることなどできはしない。

何かを得るためには、何かを犠牲にしなくてはならないのだ。

ある女は言う、過去を捨てなくては未来を得ることはかなわぬ、と。

またある女は言った、過去の己あればこそ、未来を得られるのだと。

どうあれ人は選ばざるをえない、己のゆくべき道を。

その先が頂にいたる道か、奈落の底につづく断崖か、それは誰も知りえない。

だとすれば、その選択のよりどころは。

己の心のなかにしか、ないのかもしれぬ。


“――理沙子、私はね”

“――プロレスが、大好きなんだ”

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■ジャッジメント・セブン SIDE■
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▼日本 東京都江東区有明 タイタン有明 PantherGymオフィス

【ジャッジメント・セブン】が本拠地とするPantherGym。
その真夜中のオフィスにて……

「プロレスが興行である以上は――」

《南 利美》がいった。

「――まず、観客が望むものを提供しなければならないわ」

それはそうです、と《内田 希》は同意した。

「ただの競技ならまだしも、プロレスは……そうではありませんし」

競技であったとしても同じことよ、と南はつづける。

「しかし、私たちは奉仕者ではなく、」

支配者でなければならない、と南は説く。

「チケット代、PPV代よりも更に上回るものを、見せつけなければならないのよ」
「……容易なことではありませんね」
「当然よ。それができているレスラーなんて、まぁ、国内では五本の指に足りるていど」
「挙げていただいても?」
「そうね、まずは私」
「…………」

真っ先に自分を挙げるあたりは、南利美の真骨頂というしかない。

「それから、お龍さん(サンダー龍子)、麗華(ビューティ市ヶ谷)、それと……祐希子(マイティ祐希子)くらいかしらね」
「……手厳しい評価ですね」
「あぁ、貴方も悪くはないわ。一流のレスラーには違いないし」

ただ、超一流ではない。
それだけのこと。
おそれいった自信だが、それもまんざら的外れではない。

(……祭典での試合は、まさにそうだった)

先の祭典“Athena Exclamation X”のメイン戦における《武藤 めぐみ》との二冠戦は、まさにリングを、そして会場をも“支配する”ものであった。
もともと南は実力者ではあったが、これまでは祐希子や市ヶ谷らのサポートに回っていたイメージが強い。
それが、【ジャッジメント・セブン】に加担してシングルプレイヤーとして起つやいなや、その存在感は倍加したといっていい。
内田が上戸とのタッグを解消、J7についたのも、南の影響があったことは否定できぬ。
タッグ屋“ジューシーペア”としては高評価を得てきたが、それでは飽き足らなくなってきていた。
もっとも、内田の転身の理由は、そればかりではないけれども。

「フフッ。相棒に悪い、と思ってる?」
「いえ。……別に」
「そう。まぁ、どうでもいいけれど」
「…………」

上戸に、不満があったわけではない。
……いや、まぁ、皆無ではなかったが。
今こうして反体制ポジションについたのは、己の殻を破るため、といってさしつかえない。

「私の解釈ですが」

ジャッジメント・セブンの、本来の存在価値は……

「……祐希子さんが欠場している間の、話題づくりだったのでは?」
「そうかも知れないわね」

新女の、いや日本女子プロレス界のトップに立つ、マイティ祐希子。
ここ最近、故障ということで欠場を続けており、来年正月の新日本ドーム大会で復帰予定。
もっとも、その間に映画出演など芸能活動も活発におこなっており、ケガというのは表向きではないか、という声もある。

「新女ならありそうな話だけど。……ま、無傷のプロレスラーなんていないわ」

長くやっていれば、大なり小なり故障はある。
祐希子の欠場も、オーバーホールと考えれば納得はいく。
そして、その間の話題を保つための布石として……

(ジャッジメント・セブンが作られた……か)

まんざら信憑性がないでもない。
だとすれば、

(祐希子の復帰と共に、J7は消滅……あるいは、リニューアル)

それが、団体側の思惑かもしれなかった。

「ま、(越後)しのぶや斉藤(彰子)も、十分“スター気分”は味わえたでしょ」

今後しばらくは、祐希子と南によるベルト争奪を、メインストーリーとしていきたいのかもしれない。
もっとも、そのとおりに行くかどうかは、さだかではないのだ。

(つまるところは)

新女にとって、他団体との
“共存共栄”
などは、論ずるに値しない。
あわよくばすべてひねり潰し、使えそうなレスラーのみを拾い上げ、シェアを独占したいに決まっているのだ。
まして、“世界戦略”を掲げるならば、なおさらのこと。

(その点、真っ先に狙われるのは……)

東女? いや、あそこの社長は、なかなか食えない。
最近、“あの”《井上 霧子》が加担しているとあっては、なおのこと。
WARS? なるほど、トップの龍子は、考えるより先に行動するタイプ……
しかし、いまやあの“女狐”(《フレイア鏡》)がそばにいるとあっては、そう簡単には崩せまい。
その他の、吹けば飛ぶような泡沫団体は問題外とすれば……

やはり、JWI。
いくら《小川 ひかる》らがついていても、肝心の市ヶ谷がアレでは、どうにもなるまい。

(…………)

南利美はかぶりを振った。
感傷的になっている暇など、ありはしない。
何かを手に入れるためには……

(……何かを、失う覚悟がいる)

そう、たとえば、長い付き合いの友人。

いや、同じ時を過ごしてきた、家族ですらも。

(そして、人の心は、いちど離れてしまえば……)

二度とはたやすく、結びつかぬものなのだから。

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■新日本女子プロレス SIDE■
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◆リアクション06共通内容:新日本女子プロレス編(1)
◆リアクション06共通内容:新日本女子プロレス編(2)
◆リアクション06共通内容:新日本女子プロレス編(3)

▼日本 東京都品川区 新日本女子プロレス道場

新女を中心とした【HONEY★TRIP】と【みるきぃ☆れもん】のアイドルユニット抗争は、新たな局面を迎えつつあった。
祭典における対決で、みるきぃ軍のリーダー・《キューティ金井》がHT軍に引き抜かれるという異常事態が発生。
更にそののち、金井は永原・富沢らと同期トリオを結成し、事実上アイドル戦線から離脱した。

いっぽう、トップを失ったみるきぃ軍であったが、《榎本 綾》をセンターとした新体制でリスタート。
新女の《井上 美香》《山元 広美》らに加えて、他団体の《メロディ小鳩》や〈ルカ湖ノ宮〉を引き込み、ガールズバンド形式での巻き返しを図っている。
ちかぢか冠番組をかけての対抗戦が企画されるなど、年の瀬のマット界が<EXトライエンジェル・サバイバー>の話題で持ちきりになるなか、アイドルレスラー業界は独自の路線で華々しく活動していた。

とはいえ、誰もがその潮流に乗れるわけでもない。
たとえば《小縞 聡美》。
みるきぃ軍の一員であったが、榎本体制においては居場所がなく――べつだん不仲なわけでもなかったが――アイドル路線の主流からは外れてしまった。
現在はレスラーの本分に戻り、若手の実力派である〈ウィッチ美沙〉や、ルームメイトである〈フランケン鏑木〉らと共闘する流れに行きつつある。
噂では、美沙を中心として、若手による革命軍団を結成しようと画策しているとか。
それはあたかも、かつて《マイティ祐希子》らが時代を変えるべく結成した伝説の軍団……

――レッスルエンジェルス

その、再来なのかもしれない。

そんな彼女たちの動きを、〈高崎 日向〉は複雑な思いで見つめていた。
アイドル路線に活路を見出したまでは良かったが、《辻 香澄》らほどには染まりきれぬ。
さればレスラーとしての実力を示せているかといえば、そうでもない。
たとえば、先の祭典におけるシングルマッチ……

“Athena Exclamation X”試合結果(2)

あるいはまた。
若手によって競われた、EXTAS出場者決定戦……

リアクション06共通内容:ある日の闘景(1)

▼日本 東京都品川区 新日本女子プロレス道場

かつては顔を合わせるたびに嫌味を口にしていた美沙などは、最近は言葉をかけることすらしなくなった。
無視している――というほどでもなく、たんに無関心でしかないその態度は、悪口雑言よりはるかにこたえるものだった。
針のむしろ、とはこのことであろう。
しっかりとした目的を持ち、自分たちの手でそれを成し遂げようと邁進する美沙や鏑木らの姿に、日向は羨望にちかい感情を抱いていた……

彼女のケータイに一通のメールが届いたのは、そんなおりである。
全文英語であったため、一瞬、スパムかと思ったが、

「! これって……」

アメリカ遠征中、LWWのレスリングキャンプで出会い、スープレックス使いとして意気投合、アドレスを交換した若手レスラー。
ジェナ――《ジェナ・メガライト》。
メールの内容は、いたってシンプルなものである。

“Hi,Hinata.I fight in NJWP-EXTAS”

(彼女も、EXTASに……!?)

参戦が決まったらしい。

“I want to fight Hinata.”

ヒナタと闘いたい――と、メールは締めくくられていた。

(ジェナ……!)

雑念から解放され、ひたすら無心にレスリングに没頭した、あのひととき。
あの時、日向は確信した。

(そうだ……私は……!)

やはり自分は――プロレスが、何より好きなのだと。
目の前に立ちはだかっていると思えた大きな山は、登り、攻略するためのもの。
はたからは苦行としか見えぬその山登りを、彼女は好きで選んだのではなかったか。

(私は……負けないから!)

そんな気持ちを思い出させてくれたメガライトに、感謝と健闘を祈るむねを返信する……

「……っ、さ、サンキュー、だけじゃまずいし……ええっとぉ」

……英語力という高い壁は、なかなか乗り越えられないようであった。

――日本武闘館6連戦。

それが、<EXトライエンジェル・サバイバー>の日程である。
全18チームを3ブロックに分け、総当りのリーグ戦を開催。
最終日において、各ブロックの首位3チームと、敗者復活戦を勝ち抜いたチームによる決勝トーナメントをおこない、優勝を争う。
優勝チームには、賞金として100000000円……つまり1億円が贈られる。
そのブロック分けは以下の通り。

<Aブロック>

“ゴールデン・ボンバーズ”
“NJWP-USA”
“パッション・スリー”
“災凶タッグプラスワン”
“C.B.T”
“魔王と姫と魔法使い”

<Bブロック>

“xXx(トリプルクロス)”
“六角道場”
“ブラックホール・クラスターズ”
“柳生三人衆”
“アニマル・キングダム”
“パイレーツ・オブ・ヨコハマ”

<Cブロック>

“新女魂”
“ジャスティス・フォース”
“Silberne Drache”
“I・W・J”
“レガシー・オブ・レスリング”
“アンノウン・ソルジャーズ”

▼日本 東京都品川区 新日本女子プロレス道場

「……やっかいなブロックに入っちまったなぁ」

“ゴールデン・ボンバーズ”をひきいる《ボンバー来島》がボヤくのも無理はなかろう。
天才・武藤ひきいるUSA軍、最凶お嬢様を擁する災凶タッグ、パラシオンや日本海勢も侮れない。
かてて加えて、“魔王”の降臨ときている。

「ゴチャゴチャ考えても仕方ない。どいつもこいつも、ブン投げてやるだけっすよ」

《マッキー上戸》などは割り切っている。

「アイツの目を覚まさせてやるには……勝ち上がるしかないっすから」

アイツとはつまり、元パートナーのラッキー内田こと《内田 希》のことに他ならぬ。

「まぁな。……ゴチャゴチャ言うより、結果を出すしかないってわけだ。アテにしてるぜ、ゴールデンルーキー」
「…………ッ」

無言でうなずく日向。
果たして、どこまで期待に応えられるのか……それは分からないけれど。

もとより、日向も研鑽を怠っているわけではない。
アイドル軍団【HONEY★TRIP】のリーダー・《藤島 瞳》からは、“魅せるプロレス”の極意を学んだ。
それは、日向の美意識にそぐわぬところも少なくなかったが――たとえば“大向こうをうならせるバンプ(受け身)の取り方”であるとか“より派手な音の出し方”といったもの――ただ闘えばいいというものではない、プロレスの深みというものではあったろう。

「プロレスゆうのは、ボクシングなんかとちがって、お客さんにダメージが伝わりにくいんよね。せやから、あるていど大げさに“強調”する必要があるんよ」
「はぁ……でも、それって、“芝居”しろってことですか?」
「あぁ――まぁ、当たらずとも遠からずやけどね。ソレ、他の先輩の前じゃ言わんほうがええよ。ブッ飛ばされるから」
「………っ」

自分から話を振っておいて、理不尽な言いぐさであった。

「ま、ひなたんがクールキャラでいきたいなら、やめといたほうがええけど、お父さんみたいな熱血キャラでいくなら、そういうのも必要やと思うなぁ」
「はぁ……」

彼女の父、《オリオン高崎》は国内屈指の熱血プロレスラーとして知られている。
その暑苦しさにヘキエキはしても、憧れの対象ではなかった。

―――― さぁ日向、今日の夕飯は大盛りPKGだ!!
―――― え、ピーケージー? なにそれ?
―――― プロテインかけごはん! 今風に言ってみたぞ! さぁ、これでチェンジ・ザ・ボディだ!! C・T・B!! P・K・G!! C・T・B!!  P・K・G!!!
―――― ………………。

……まぁ、幼いころからの基礎トレのおかげで今があると思えば、文句ばかりも言えないけれど。

「ま~でも、うちの言うことなんて、あんま聞かんほうがええよ(アッサリ)」
「え、ええっ??」
「だって、うちもコーチや先輩の話なんか、ろくに聞いてなかったもん」

そんなことを、なぜか自慢げに言う藤島。

「ぜんぶ素直に従っとったら、そんなん、デビューもできずに夜逃げしとったんちゃうかな。適当にサボったりして、いい按配にやっとったわけ」
「……っ、でも、それでどうして……」

生存競争熾烈な新女マットで、成功できたのか?

「考えたんよ。生き残るためにはどうすればいいかって」
「…………っ」
「ひなたんも、とどのつまりは、自分でなんとかするしかないんよね~~」
「は、はぁ……」

藤島の言に惑わされつつも、汗を流すしかない日向なのであった。

▼日本 東京都千代田区 日本武闘館

<1日目>

そして迎えた、<EXトライエンジェル・サバイバー>、本番。
開幕に至るまでは色々とあったが、最大の衝撃は、理沙子の参戦であったろう。
それまでそんな気配は微塵も見せなかったのに。
盟友・上原の従妹であるという凪と組んで出場するとは。

(せめて、一声かけてくれたって……)

いいだろうに、と恨み言のひとつも言いたくなる。
それなのに、発表後に顔を合わせた理沙子ときたら、

――新女さんの大物ルーキーに声をかけるなんて、そんな大それたことができるわけないじゃない。

などと、しゃあしゃあと言ってのけるのだから、たちが悪い。

もっとも、日向は理沙子にばかり気を取られてもいられなかった。
毎試合(彼女のように大物ルーキー待遇であってすら)普段ではありえぬ一線級の強豪たちと闘わねばならぬ。
ことこの大会においては、勝ち負けもさることながら、

――壊されないこと

それも、彼女にとっては闘いであったといえよう。

さて、開幕戦。
初っぱなから、難敵であった。

“ゴールデン・ボンバーズ”
 《ボンバー来島》(新日本女子プロレス)
 《マッキー上戸》(新日本女子プロレス)
 〈シャイニー日向〉(新日本女子プロレス)

 VS

“NJWP-USA”
 《武藤 めぐみ》(新日本女子プロレス)
 《レミー・ダダーン》(IWWF)
 《ミスUSAマスク》(???)

「言うまでもありませんけど――来島さんじゃ勝てません」
「アメリカかぶれに負けるかよ!」

武藤と来島が火花散らすかたわら、謎のマスクウーマンとゴールデンルーキーも視殺戦を展開。

「ヒナタ……レッツ・ストラグル!」
「っ、やっぱり、貴方は……!!」

出場メンバーの中に、メガライトの名はなかった。
が、USA軍の助っ人覆面ファイターの体つきを一目見ただけで、日向には瞭然。
どうやら、約束を果たすときが来たようだ……

<一本目:6人タッグ>

一本目の先陣は、来島と武藤が激突。
武藤のスピードと来島のパワーが交錯、お互い一歩も譲らぬ攻防に場内は早くもヒートアップ。
そこから来島とダダーンの力比べ、上戸とUSAマスクのスープレックス対決などの展開の末、日向がリングに入る。

「ジェナッ!」
「ヒナタァーーー!!}

真っ向からぶつかり合う両者。
ロックアップからバックの奪い合い、腕の取り合い、とオーソドックスなやり取り。
それだけで、

――更に腕を上げている。

数ヶ月前とは違う、とお互いに認識する。

「でやあっ!」
「……!」

バックドロップを狙うもスカされ、逆に背後を取られてクラッチされるが、これはロープを掴んで必死に阻止。
パラシオンの沢崎を病院送りにしたスープレックスは、何としても食らってはならない。
そのまま両者譲らぬまま、USAからダダーンがみずからタッチ、

「のんびりやっとれんからなァ!」
「…………!!」

豪快なスラムで日向を沈め、一本目を先取した。

 ×〈シャイニー日向〉 VS 《レミー・ダダーン》○

 (10分32秒:ボディスラム)

その後、二本目は来島が獲ったが、三本目で上戸が武藤に敗れ、Gボンバーズは初戦を落としたのである。

<二本目:4人タッグ>

 ○《ボンバー来島》 VS 《ミスUSAマスク》×
 (9分24秒:ダブル延髄斬り)

<三本目:シングルマッチ>
 ×《マッキー上戸》 VS 《武藤 めぐみ》○
 (6分17秒:フライングニールキック)

「……っ、すみません……っ」
「ま、いいさ。どんなリーグ戦も、開幕戦は難しいもんだ」

来島に肩を叩かれながらも日向は、勝ち名乗りを受けるUSAに鋭い視線を送っていた……

そして、大会2日目。

“ゴールデン・ボンバーズ”
 《ボンバー来島》(新日本女子プロレス)
 《マッキー上戸》(新日本女子プロレス)
 〈シャイニー日向〉(新日本女子プロレス)

 VS

“パッション・スリー”
 《桜井 千里》(パラシオン)
 《ソニア稲垣》(パラシオン)
 〈坂林 玲〉(パラシオン)

パラシオン代表トリオとの対決。

「オープン戦はおしまいだ。今日からペナントレーススタートだぜ!」
「あれがニュージャパン? フン、レスリングは筋肉でやるものじゃないわ!」

<一本目:6人タッグマッチ>

開幕投手? を買って出た来島、稲垣をはじめとするパラシオン勢を、メジャー団体のプライドを見せつけるかのようなパワーファイトで蹂躙。
しかし坂林が奇襲で仕掛けたカウンター裏拳で鼻から大流血、たまらず投手交代。
中継ぎとして登場の日向と坂林が対峙する。
身長は10cmばかり違い、リーチに差があるだけに、もとより打撃戦は不利。

(あの打撃は強烈……でも、密着してしまえば!)

「とりゃああっ!!」
「…………!」

タックルで一気に距離を詰め、体をつかむやいなや高速フロントスープレックスでブン投げる!
更にコーナーに昇り、ミサイルキックで追い討ちを……

「……っと!」
「つあっ!?」

これは読んでいたか、坂林が間一髪でかわして自爆を誘い、

「……どおおおっ!!」
「んっぐううっ!?」

倒れた日向の土手っ腹に、強烈なヒザを叩き込む。
そのまま、顔面へマウントパンチの連打!
もちろんプロレスルールでは反則なので、レフェリーに制止される。

「こ……のおおおっ!!」
「…………!!」

カッと熱くなった日向が、突っ込んできたところへ……

「おっぐっ!?」

カウンターのヒザが待ち受けていた。
アゴに入ったクリティカルな一発で、日向の意識は吹き飛んだ……

 ×〈シャイニー日向〉 VS 〈坂林 玲〉○
 (10分36秒:ニーリフト)

ゆえに、その後の展開はほとんど記憶にない。
気がつけば、リング上で勝ち名乗りを受けていた、ということになる。

<二本目:4人タッグマッチ>

 ×《ソニア稲垣》 VS 《マッキー上戸》○
 (7分14秒:ヘッドバット)

<三本目:シングルマッチ>

 ×《桜井 千里》 VS 《ボンバー来島》○
 (10分44秒:ぶっこ抜きジャーマン)

「やれやれ、まずは1勝だな」
「あと全部勝てば、決勝トーナメントなんでしょ? 楽勝っすね」
「気楽でいいねぇマッキ」
「すみません……っ、私、また……」
「気にすんな。お前さんは、お前さんにできる仕事をやりゃあいいのさ」
「…………っ」

<大会3日目>

「……いやはや。また面倒なのが出やがったぜ」
「……あの御仁とだけはやりたくなかったっすね」

来島や上戸すら、嫌がる相手……
だがそれも、仕方ないかもしれない。
なにしろ、

“ゴールデン・ボンバーズ”
 《ボンバー来島》(新日本女子プロレス)
 《マッキー上戸》(新日本女子プロレス)
 〈シャイニー日向〉(新日本女子プロレス)

 VS

“災凶タッグプラスワン”
 《ビューティ市ヶ谷》(JWI)
 《十六夜 美響》(VT-X)
 〈紫乃宮 こころ〉(JWI)

「オーーッホッホッホッ! この兆両役者相手には不足もいいところですけれど、せいぜい引き立て役として輝かせてさしあげますわ!」
「麗華さま流石です!」
「………………」

リング上で相対したビューティ市ヶ谷という“生物”は、予想を遥かに超えた……何か、のようだった。

<一本目:6人タッグマッチ>

この頃になると。
日向にも、この試合形式の“攻略法”がわかってきていた。
ぶっちゃけ、自分が勝ち星を上げるのは容易ではない。
ならばせめて、相手のエース格に負ければ、“道連れ”にすることができる。
だが、相手が同程度のキャリアなら、話が違う。

JWIの紫乃宮……先日おこなわれた“Top of the Cruiser Girls”にも参戦していた。
そのさいはブロックが別だったため、手を合わせることはなかったが、

「麗華さまのため……絶対、負けられない!」
「…………!」

並外れた気迫は、あのときより更にパワーアップしているような気さえする。
あの市ヶ谷のどこにそんなに心酔しているのかは、わからないけれど。
パワーでは上戸を相手にしても引けをとらないものがあるだけに、

(正面からぶつかるのは愚策!)

「せりゃあっ!」
「……うわっ!?」

奇襲のヘッドホイップシザースで投げ飛ばし、機先を制する。

「こ……のっ!」
「くうっ!!」

ダッシュからの顔面へのサッカーボールキックをあやうくかわし、

「……でええいっ!」
「!?」

トップロープを踏み台にしてコーナーポストに飛び移り、そこからミサイルキック!
幻惑されたこころはこれをまともに食らい、もんどりうって倒れる。
華麗さと威力のあいまった一撃に、場内からもどよめきが起こった。

(っ、やった……!)

練習でもやったことのない流れだったが、ズバリとはまった。

(あの動き……)

ひそかに試合を観戦していた理沙子は、思わずうなったものである。

(あれは……月美さんの)

月美、すなわち日向の母《LUNA》が得意としていた華麗なトライアングル・ミサイルキック。
反発するようなことを言いつつ、しっかり参考していたのか?
あるいは、幼い頃に観たムーブが、とっさに出たのかもしれない。

(おやおや……)

こころに代わってリングに入ってきた“彼女”を観て、理沙子は微笑をうかべた。

(さて、どれだけ通用するかしらね?)


ありていにいえば、まったく通用しなかった。
ビューティ市ヶ谷と日向との闘いは……
試合というより、一方的な破壊。

「う、ぐ、ぐ……!!」
「やれやれですわ。今の新女には、こんな三下しかおりませんの? とんだ凋落ぶり。驕る者ひさしからずとはよく言ったものですわ!」

日向を踏みつけながら大笑する、たぶん日本一傲慢な当人。

「麗華さま、タッチを!」
「おっと……そうでしたわね。まったく、誰ですの? こんな七面倒なルールを考案したのは」

こころと交代しようとする市ヶ谷……だったが、その手を叩いたのはもう一人の選手。

「!? ちょ、十六夜さんっ?!」
「フフッ。ずっと休んでいるのも、退屈なの」

九州の雄【VT-X】のトップ、“災厄の女帝”十六夜美響である。

「おい、高崎っ! 代われ――」
「…………っ」

来島の声をよそに、歯を食いしばって立ち上がり、十六夜をにらみつける日向。

「後は……っ、お任せしますっ!」

ここで、日向が十六夜に敗れれば。
残るは来島&上戸と市ヶ谷&紫乃宮。
二本目で一枚おとる紫乃宮を叩ければ、あるいは勝機も見えてくるであろう。

「フフ……少しは楽しませてくれるのかしら? 月の落とし子さん」
「……!」

妖しく舌なめずりしながら、嗜虐的に微笑む十六夜。
果たして手も足も出ず、ボロボロにされる日向……
しかし、その目は死んではいなかった。

「でやあっ!」
「……!」

とっさのトラースキックで十六夜をグラつかせたところへ……

「………………!」

身体が、本能に突き動かされるように反応する。
コーナーポストを、一息に、駆け上がり……
そのまま、翔んだ。

『お…………おおおおお!?』

それは、観たものが思わず目を奪われざるをえない、羽が生えているかのような、飛翔。
太陽は、高らかに昇り……
そして、沈んだ。

<一本目:6人タッグマッチ>

 ×《十六夜 美響》 VS  〈シャイニー日向〉○
 (10分27秒:360°スプラッシュ+エルボー)

3カウントが叩かれるや、場内は割れんばかりの大歓声に包まれた。

 “永遠の未完の大器”
 “昇らぬ太陽”
 “サンシャインガール(笑)”
 “へなたん”

とさんざんコケにされてきた彼女が、その名に恥じない大仕事をやってのけたのだから、それも道理であろう。
のちに『サンセットスプラッシュ』と称されることになる大技の、衝撃的なお披露目であった。

日向畢生のジャイアントキリング(大物食い)により、風向きは一気にGボンバーズに傾いた。
市ヶ谷軍はそのままペースを取り戻せず……

「ええいっ、猪口才な!」
「てめーみたいなのを……猪武者っていうんだよ!」
「……!?」

突進してきた市ヶ谷を来島がカウンターのDDTで仕留め、二本先取にてGボンバーズが勝利を果たしたのである。

<二本目:4人タッグマッチ>

 ○《ボンバー来島》 VS 《ビューティ市ヶ谷》×
 (6分26秒:DDT)

「やりやがったな、高崎!」
「あんな隠し玉があるとはな。菊池サンに教わったのか?」
「いっ、いえ……その、勢いというか」

あれは、もうほとんど無意識的なもので。
のちに映像を観返しても、もう一度やってみる気には、なかなかなれなかった。
これを「技を大事にしている」と見る向きもあったが、要は恐怖心と……空中殺法で名高い母への、複雑な心情ゆえであろう。

<4日目>

“ゴールデン・ボンバーズ”
 《ボンバー来島》(新日本女子プロレス)
 《マッキー上戸》(新日本女子プロレス)
 〈シャイニー日向〉(新日本女子プロレス)

 VS

“C.B.T”
 《相羽 和希》(日本海女子プロレス)
 《杉浦 美月》(日本海女子プロレス)
 《ノエル白石》(日本海女子プロレス)

3連敗でもはや予選突破の目がないCBTだが、意地を見せんとぶつかってくる。
杉浦のテクニックや白石のパワー、相羽の……えーっと、相羽の元気のよさなどで畳み掛けてくる。

「ちょっと!? ボクだけポイントぼんやりしてない!?」

日向が白石のパワーに屈したものの、二本目・三本目を上戸・来島が奪取、3連勝でリーグ戦突破に望みを託したのである。

<一本目:6人タッグマッチ>

 ×〈シャイニー日向〉 VS 《ノエル白石》○
 (7分32秒:ロメロスペシャル)

<二本目:4人タッグマッチ>

 ○《マッキー上戸》 VS  《杉浦 美月》×
(9分38秒:ジャンピングニーパット)

<三本目:シングルマッチ>

 ○《ボンバー来島》 VS 《相羽 和希》×
 (4分26秒:延髄斬り)

<5日目>

そして、リーグ戦最終戦……

“ゴールデン・ボンバーズ”
 《ボンバー来島》(新日本女子プロレス)
 《マッキー上戸》(新日本女子プロレス)
 〈シャイニー日向〉(新日本女子プロレス)

 VS

“魔王と姫と魔法使い”
 《ダークスターカオス》(WWCA)
 《ソフィー・シエラ》(TWWA)
 〈ルカ湖ノ宮〉(日本海女子プロレス)

ここまで4連勝の魔姫魔に対し、3勝1敗のGボンバーズは、これに勝てば逆転で決勝トーナメント進出となる。
湖ノ宮は紫乃宮同様TCGに参戦していたが、やはりブロックが違っていたので対決はなかった。
聞けば、チームメイトのギャラは自腹らしく、優勝して賞金をゲットするのが至上命題らしい。
……日本海女子というのは、なかなかに破天荒な団体らしかった。

「負けられない……日本海女子の看板と、そして私の人生のために!!」
「そんなの、こっちだって……っ!!」

先発を買って出た湖ノ宮と日向、感情を剥き出しにしてぶつかり合う。

「わが右腕に集え、混沌とか闇の力とか! ダークスターハルカッ……ホゲ~~~!?」

カオス譲りの? ラリアットを放とうとした湖ノ宮の顔面に、カウンターでドロップキックを食らわせる日向。
その後、本家カオスの猛攻に追い込まれたりしたものの……

<一本目:6人タッグマッチ>

 ×〈シャイニー日向〉 VS  《ソフィー・シエラ》○
 (12分12秒:パイルドライバー)

<二本目:4人タッグマッチ>
 ○《マッキー上戸》 VS 《ダークスターカオス》×
 (4分26秒:サンドイッチラリアット)

<三本目:シングルマッチ>
 ○《ボンバー来島》 VS 〈ルカ湖ノ宮〉×
 (4分12秒:ボストンクラブ)

上戸がカオスを撃破する殊勲をあげるなどして、ついにBボンバーズ、逆転で予選ブロック突破を果たしたのである。

「やれやれだな。ま、最低限の目標はクリアだが」
「ここまできたら、優勝しかありませんよっ」

経験豊富な来島と上戸も、テンションが上がっている。
何しろ、新女系チームで勝ち残ったのは、彼女たちのみ。

「それに、アイツをブン殴るには、決勝まで行かないとですからね」
「……流石にやるな、アイツらは」

内田ようするJ7の“xXx(トリプルクロス)”は、Bブロックを全勝(しかも全試合で二本勝利!)で突破。
彼女たちと闘うには、お互い決勝まで行くしかない。

<最終日>

かくして“ゴールデン・ボンバーズ”は4勝1敗でAブロックを制し、決勝トーナメントに駒を進めた。
相対するは、Cブロック1位・J7を追放された《カーメン成瀬》ひきいる正体不明のミイラ集団“アンノウン・ソルジャーズ”である。

“ゴールデン・ボンバーズ”(Aブロック1位)
 《ボンバー来島》(新日本女子プロレス)
 《マッキー上戸》(新日本女子プロレス)
 〈シャイニー日向〉(新日本女子プロレス)

 VS

“アンノウン・ソルジャーズ”(Cブロック1位)
 《ミステリアスパートナー1号》(?)
 《ミステリアスパートナー2号》(?)
 《ミステリアスパートナー3号》(?)

「わけのわからねー連中だが、油断は禁物だな」
「…………っ」

Cブロックでは、理沙子ら“レガシー・オブ・レスリング”に敗れたのみで、4勝1敗での勝ち上がり。
実力は確かなものに違いない。

<一本目:6人タッグマッチ>

先発は来島とMパートナー3号。
来島の剛力をのらりくらりとかわす体術は、見かけによらぬもの。
代わって上戸と2号がやり合うも、これまたつかみどころがない。
タッチした日向もペースつかめず、ゾンビパウダーを食らうなど幻惑されたあげく、あえなくピンフォールを奪われた。

 ×〈シャイニー日向〉 VS 《ミステリアスパートナー2号》○
 (11分14秒:ヒップアタック)

Bボンバーズ、そのまま流れをつかめず……

<二本目:4人タッグマッチ>

 ×《マッキー上戸》 VS 《ミステリアスパートナー1号》
 (3分31秒:飛びつき腕ひしぎ逆十字)

つまるところ、ストレート負けに終わってしまった。
かくして、BボンバーズはUソルジャーズに敗退、決勝進出はならなかったのである。
日向にとってみれば、まぁまぁ……というには、物足りぬ結末であったといえよう。
十六夜から大金星を挙げた以外は一本目で獲られており、お世辞にも活躍したとはいえぬ。
この経験を肥やしにできるかどうかは、彼女の今後次第であろう。

ちなみに、決勝戦のカードは……

“アンノウン・ソルジャーズ”
 《ミステリアスパートナー1号》(?)
 《ミステリアスパートナー2号》(?)
 《ミステリアスパートナー3号》(?)

 VS

“災凶タッグプラスワン”
 《ビューティ市ヶ谷》(JWI)
 《十六夜 美響》(VT-X)
 〈紫乃宮 こころ〉(JWI)

「……ゴキブリなみにしぶとい奴らだな」

来島が呆れるのも無理はない。
Aブロックで敗退した災凶Tだが、敗者復活ガントレットマッチで破竹の5連勝を果たして大復活。
準決勝では、因縁浅からぬ“xXx(トリプルクロス)”と対決、これを下しての決勝進出である。
とはいえ。
今日だけで実に7試合目。
まだ2試合目にすぎないUソルジャーズとは、消耗度の差は歴然。
ここにいたっても、

――このていど、ちょうどいいハンデですわ。

と呵呵大笑する市ヶ谷の図太さは底が知れぬ。
かくて決勝戦は、異例となる外敵チーム同士の対決……と、思われた。

が、事態は意外な展開をむかえる。
決勝のゴングを前に、Uソルジャーズがその正体を露にしたのである――

黒の長髪が目立っていた3号は、すなわち《氷室 紫月》――
小柄なテクニシャンの2号は、《ナイトメア神威》――
そして、長身の実力者である1号は……《カンナ神威》。

「うちらは【ジャッジメント・セブン】の別働隊! さしづめ、“リアル・ジャッジメント”ちゅうこっちゃ!」

J7を追放されたとは方便に過ぎなかった《カーメン成瀬》……いや、《成瀬 唯》がうそぶく。
そして、J7が決勝まで残っていれば途中で負けても良かったが、こうなっては仕方ないから優勝させてもらう、と大言壮語。

“リアル・ジャッジメント”
 《カンナ神威》(フリー)
 《ナイトメア神威》(苛無威軍団)
 《氷室 紫月》(フリー)

 VS

“災凶タッグプラスワン”
 《ビューティ市ヶ谷》(JWI)
 《十六夜 美響》(VT-X)
 〈紫乃宮 こころ〉(JWI)

<一本目:6人タッグマッチ>

一本目、カンナが十六夜を仕留め、この時点で絶体絶命……

 ○《カンナ神威》 VS 《十六夜 美響》×
 (2分20秒:エクスプロイダー)

<二本目:4人タッグマッチ>

しかしここでこころが大奮起、氷室から殊勲の星をあげてイーブンに。

 ×《氷室 紫月》 VS 〈紫乃宮 こころ〉○
 (11分53秒:パワーボム)

<三本目:シングルマッチ>

ナイトメアと市ヶ谷の一騎打ちとなる――が、ここで《ライラ神威》ひきいる【苛無威軍団】が乱入、ノーコンテストに。

 ▲《ナイトメア神威》 VS 《ビューティ市ヶ谷》▲
 (14分10秒:苛無威軍団乱入によるノーコンテスト)

しかし龍子たち他チームが苛無威軍を排除、再試合となる。
最後は市ヶ谷渾身の“美神降臨”(災厄降臨)が炸裂、決着となった――

 ×《ナイトメア神威》 VS ○《ビューティ市ヶ谷》(JWI)
 (4分42秒:美神降臨)

しかしそれもつかのま。
試合後にはJ7がリングを占拠、そこへ再度寿千歌ひきいる苛無威軍団が現れる。
遺恨のある両軍は対立……と思いきや、南と千歌がガッチリと握手。

――マット界にはびこる罪は七つどころではない。幾千にもおよぶ。
――そのすべての罪を裁くため、あえて悪をも呑み込もう。

ここに新軍団【ジャッジメント・サウザンド】(J1K)を結成を宣言、日本マット界の完全制圧を掲げたのである。
これに新女正規軍をはじめ、市ヶ谷や龍子らが反発、“J1Kvs女子プロレス界”の構図がより明解なものとなったのはいうまでもない。

このとき、日向も来島らに従ってはいたが、市ヶ谷や龍子らに混じってはその他大勢にすぎぬ。
インパクトを残せなかった、といっても、仕方のないところであったろう。

とまれかくまれ。
大混乱の末、歳末のビッグイベント<EXトライエンジェル・サバイバー>は幕を閉じた……

▼日本 東京都品川区 新日本女子プロレス寮

遥かに格上の相手との連戦は、日向の肉体に悲鳴を上げさせるに十分だった。
故障こそまぬがれたものの、熱を出してダウンしてしまったのである。
それでも、ほんの数日で回復にむかったのは、流石に若さというしかない。

「すこしゆっくりすればいいんじゃない? 無理して悪化しちゃったら、元も子もないし」
「う……ん」

《辻 香澄》に言われ、おとなしくしておくことにする。
どのみち。
わずかな休息の先には、苛酷な毎日が待っているのだ……いやおうなしに。

果たして。
回復した日向に、ハードな選択が待っていた――


 → 『天使轟臨』 シャイニー日向 リアクション06 Part2

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