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2013年01月14日

平成二十三年の野球娘。

以下は大正野球娘。合同誌第二弾「櫻花球宴」 に寄稿した私の作品です。
頒布から2年が経過したこともあり、せっかくなので全文公開しちゃいたいと思います。

なお、以前にあとがき的なものも書いたので、読後にそちらも合わせてご覧いただければ幸い。
『平成二十三年の野球娘。』あとがき的なもの: nokotsudo BLOG

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右手に握ったバットを垂直に立て、右腕を水平に伸ばしてマウンドの上の投手を見つめる。
打席に立った時、私が必ず行う動作だ。
私が立っているのは京都わかさスタジアムのバッターボックス。マウンドには女子球界のエースと称される右腕が立っている。
相手投手はその評価に恥じぬ好投で、チームの得点は相手のエラーから取った一点のみ。相手チームに大量のリードを許していた。
試合はすでに最終回ツーアウト。私が出塁できなければ最後の打者になる。このまま負けるにしてもなんとか一矢報いたいところだ。
私の前の二打席は見逃しの三振とキャッチャーフライ。どちらもストレートで打ち取られた。この打席もすでにワンボールツーストライクと追い込まれている。
一球外してくるか、それとも勝負に来るか。
決め球はストレートか、それとも変化球か。
今日の相手投手のストレートは走っているし、前の二打席ともストレートで打ち取ったことは相手バッテリーも分かっているだろう。裏をかいて今度は変化球勝負ということも考えられる。
頭にさまざまなことが駆け巡るが、判断がつかなかった。
考えがまとまらないまま向かったのが悪かったのか、中途半端に出したバットは外角のボール気味の変化球をひっかけてしまい、打球はぼてぼてとショートに転がっていった。
遊撃手が簡単にボールを取り一塁に送球。スリーアウト。
結局今日の私は三打数ノーヒット。試合も7対1で私たちの完敗だった。

私の名前は草薙綾梅(あやめ)。
設立されて二年目の女子プロ野球リーグに今年から加入したルーキーだ。
ここ京都わかさスタジアムを本拠地とする京都アストドリームスに所属している。
私はニ歳年上の兄の影響もあって小さな頃から野球が大好きな子だった。小・中は男子に混じってリトルとシニアに所属してたし、高校も実家から離れて女子硬式野球部のある学校に入学したくらいだ。
そんな私が高校二年生のとき、女子プロ野球リーグが設立された。高校卒業後も野球を続けたいと思っていた私にとって願っても無いことだった。
二年目の今年はそれほど多くの選手が獲得されたわけじゃないけど、私はトライアウトに見事合格し、晴れてプロ野球選手となることができた。
高校の頃はこれでも女子野球の名門校で四番キャプテンを務めていた私、守備は先輩たちと比べればまだまだだけど打撃には自信があった。
新監督は男子のプロ野球で監督を務めたことのある元プロ野球選手で、打撃を重視していることもあり、私はルーキーながらオープン戦から積極的に起用された。
オープン戦でそれなりの成績を残し、開幕戦でもスタメンの座を勝ち取った私だったけど、さすがにプロは甘くなかったのか開幕以後は打率も低空飛行。スタメンを外されることも多くなった。
開幕から三ヶ月、久しぶりにスタメンで起用された今日の試合でもノーヒットと結果を残せず、打率もとうとう二割を切ってしまった。
打率とともに自信も気分もどん底というのが今の私の状況だった。

女子プロ野球リーグでは試合後、選手たちが観客と一緒にスタンドのゴミ拾いを行っている。
直接ファンと触れ合うこともできるし、選手をより身近に感じてもらえるのはいいと思うんだけど、こういう日はやっぱり気が重い。
「がんばってくださいね」
「応援してます」
そんな風に声をかけてくれるファンの人たちに、なるべく沈んだ気持ちを見せないよう笑顔で応える。
応援してくれるファンの存在は嬉しいけど、試合に負けて活躍もできなかったときにはちょっと辛いものがあるなあ。まあ、男子のプロ野球のように野次を飛ばされるよりはずっとマシなんだろうけれど。
「すみません。草薙綾梅さん?」
そんなことを考えていた私に声をかけてくる人がいた。
眼鏡をかけた女の人。年の頃は二十代後半くらいだろうか。いかにも仕事のできるお姉さん、といった感じの美人だ。
「私、こういうものなんだけど」
そう言いつつ名刺を渡してくる。
「秋川桐子(とうこ)さん……。新聞記者の方ですか」
「ええ、そうよ。えーと、綾梅さんって呼んでいい?」
「ええ、いいですよ」
「ありがとう、私も桐子でいいから。この後少しお時間いいかしら。チームの許可はもう取ってあるから」
「というと、取材ですか?」
「うーん、取材も是非お願いしたいところなんだけど、今日はちょっと違うのよね。実はあなたに会ってほしい人がいるの」
「会ってほしい人? 誰ですか?」
「それは会ってのお楽しみ、かな。そんなに時間取らせるわけじゃないのでお願い、ね?」
そう言って手を合わせる桐子さん。
私に会わせたい人というのが誰なのかは気になったけど、球団の許可も取っているのであれば特に断る理由は無い。
了承の旨を伝えると、待ち合わせの時間と場所を告げて桐子さんは去って行った。
それじゃあ、さっさと掃除を片付けますか。

「おーいこっちよ」
球場の近くの待ち合わせの場所に行くと、桐子さんが手を振っていた。
そこには桐子さんの他にもう一人いた。
車いすに座った上品そうなおばあさん。お年寄りの年齢ってよくわからないけど、私のおばあちゃんよりはずっと年上なんじゃないだろうか。
「あなたに会わせたい人というのはこちら」
「はじめまして。桐子の祖母の鏡子と言います。ごめんなさいね。急にお呼び立てして」
そう言っておばあさんはほほ笑んだ。笑うとチャーミングで、若い頃はさぞ可愛らしかったのだろうと思った。
「実はあなたにお会いして直接差し上げたいものがあったのよ。そのために孫の桐子に無理を言ってあなたを呼んでもらったの」
その言葉を受けて、桐子さんは担いでいた大きめのカバンから布に包まれた棒状のものを取り出し、鏡子さんに渡した。
「どうぞ。受け取ってもらえるかしら」
「はあ」
よくわからないまま鏡子さんからそれを受け取る私。
丁寧に巻かれた白い布を取ると、中からは木製バットが出てきた。かなり古いもののようで黒ずんでいる。前に野球博物館に行った時に見た昔のバットがこんな感じだったかもしれない。
メーカーのラベルなんかは無かったけれど、よく見ると文字が書かれており、

こてつ 東邦星華 櫻花會

と読めた。
東邦星華は確か東京のお嬢様学校だったと思うけど、櫻花會って何だろう。あと、こてつって、人の名前?
「このバットは……?」
「そのバットはね、私があなたのひいおばあ様からいただいたものなの」
ひいおばあちゃん?
四人いる私のひいおばあちゃんのうち、三人は私が生まれる前に亡くなっていて詳しくは知らない。私に関係がありそうな人となると……。
「ひいばあちゃ、巴おばあちゃんですか?」
私のお母さんのお父さんの、そのまたお母さんにあたる巴おばあちゃん。私がまだ小さい頃に亡くなったけど、生前は何度も遊びに行ったことがある。
私の綾梅という名前の名付け親になってくれたのも巴おばあちゃんだと聞いている。私も“ひいばあちゃん”と呼んで懐いていた。
「ええ、巴さんよ。巴さんは女学校で私の一年先輩だったの」
ひいばあちゃんが亡くなった時は八十歳を優に過ぎてたはずだから……、同世代ということは鏡子さん、もう百歳近いんじゃないだろうか。
「巴さんはとても綺麗な人でね。私たち寮に住んでいた下級生の憧れの人だったのよ。そのバットは、私が家の都合で海外に行かなくてはいけなくなったときに、巴さんが私にくださったものなの」
「そうだったんですか。でも、どうしてバットを」
女学生とバットは縁遠いものに思えるけど。
「私と巴さんはね、一緒に野球をやっていたの」
女学校で、野球?
「あれは私が女学校に入学した年だから、大正の終わり頃ね……」
そう前置きして鏡子さんは語り出した。
大正野球娘たちの物語を――。

ひいばあちゃんのクラスメートが許婚を見返すために野球を始めることを決意したこと。
一緒に野球をする仲間を集めて、桜花会という会を作ったこと。
最初はみんな野球のルールもろくに知らなかったけれど、みんなで様々な特訓をしたり合宿をしたりと練習を重ねたこと。
年上の男子と試合し、敗れはしたけど精一杯戦ったこと。

そんなお話を大切な宝物を数えるかのように鏡子さんは話してくれた。
「すごい話よね。小説にしたら二冊、コミックなら五冊、アニメなら十二話くらいになりそうよね」
と、桐子さんが妙な感心の仕方をしてるけど、すごい話だというのは同感だった。
最近は女子野球の認知度は上がってきたとはいえ、それでも「女が野球なんか」と思っている人はまだまだ多い。
現在でさえそうなんだから、大正時代、男尊女卑が今よりずっとすごかった時代に男子と野球をやるなんて、お転婆とかそんなレベルじゃなかったんじゃなかろうか。
私も少しは女子野球の歴史は知っているので、日本で初めての女子野球は大正時代の女学校で行われた、なんて話は聞いたことがあった。
でもそれは歴史の教科書に載っていた大正デモクラシーや米騒動なんかと同じで、全然実感の湧かない遠い昔のお話だった。
それが、自分のひいおばあちゃんが野球をやっていて、そのチームメイトだったという人が目の前にいるのはなんだかとっても不思議な感じだった。
「そのバットはね、男子との試合で巴さんがホームランを打ったバットなの。あれから何十年……。あの戦争のときも、戦後の大変なときもずっと私と一緒だったわ。私にとっては御守りみたいなものだったのよ」
「えっ、そんな大切なもの、いただいていいんですか?」
「いいの。私は十分守ってもらったわ。巴さんのひ孫のあなたにこうして出会えたのも巴さんのお導きだと思うの。是非もらってちょうだい」
そこまで言われて断るのも申し訳ない気がした。
それに大好きだったひいばあちゃんの形見みたいなものだ。私だって手元に置けるものなら置いておきたい。
「それじゃあ、いただきますね」
「その代わりと言ってはなんだけど……」
鏡子さんはいたずらっぽい笑顔になった。
「綾梅さん。お願いがあるのだけど、うんと言ってくださらないかしら」
「え? 最初に内容を言うものじゃないですか?」
反射的にそう答えてしまう。
「最初にうんと言ってくださらなくてはいけないわ。……なんて、うふふ、冗談よ。お願いというのはね、ここでそのバットを振ってみてくれないかしら」
「え、ええ、それくらいお安い御用ですけど。」
数歩下がって二人にバットが届かない位置に移動する。
こてつ、と刻まれたバットを右手で握り、腕を水平に前に伸ばしていつもの構えを取る。
すると、すうっと私の脳裏にすっかり忘れていた昔の光景が浮かびあがってきた。

あれは私が四歳くらいの頃。ひいばあちゃんの家に遊びに行った時のことだ。
ゴムボールとプラスチックのバットでお兄ちゃんと野球のまねごとに興じていた。
ひいばあちゃんは縁側からその様子を穏やかな表情で眺めていた。
お兄ちゃんがピッチャー役で私がバッター役。
お兄ちゃんは手加減すること無く思いっきりボールを投げるのでいくら私がバットを振っても全然ボールに当たらなかった。
なんとかボールに当てようと、バントみたいな形でバットを持ってへっぴり腰でボールに当てに行こうとしたとき、それまでにこにこと眺めているだけのひいばあちゃんから声がかかった。
「綾梅ちゃん。バットは思いっきり振らないとだめよ」
「えー、でも当たらないよぉ」
「当たらなくてもいいのよ。バットというのはね、迷ったり、中途半端な気持ちで振るのが一番だめなのよ。一振り一振り、気持ちを込めて振らないと。空振りしたらどうしようとか結果は考えないの。空の彼方に吸い込まれていく白球のイメジだけを描いて、勇気を持って振り抜くのよ」
ひいばあちゃんの言うことは当時の私にはちょっと難しかったけど、バットは思いっきり振らなくちゃいけない、ってことだけはわかった。
ひいばあちゃんの言う通り、空振りすることとか考えない。
プラスチックのバットに気持ちを込めて思いっきり振り抜く。
何度かフルスイングを繰り返しているうちについにバットがボールを捕らえた。
ぽーん!
空の彼方、とまではいかなかったけど、ボールはお兄ちゃんの頭を大きく越えて飛んで行った。
「やったー!」
「ね、気持ちいいでしょ。今の気持ちを忘れちゃだめよ。女は度胸、野球も度胸なんだから」
「はーい!」
ひいばあちゃんの言葉に私も笑顔でうなずいた。

ひいばあちゃんのバットが、私の胸の奥に埋もれていた思い出を甦らせてくれたんだろうか。
そんな出来事はすっかり忘れていたけど、ひいばあちゃんの教えはずっと私の中に生きていた。
子供の頃からずっと、バットを振る時は結果を気にせず、失敗を恐れず、無心に振っていた。
それがプロに入って、自分の未熟さや周囲の期待がプレッシャーになり、一番大事なことを忘れていた気がする。

うん、そうだったね、ひいばあちゃん。
バットを振る時は迷ったり、いろいろ考えたりしちゃダメ。
女は度胸、野球も度胸だ。

大きく深呼吸すると、もう一度腕を伸ばしバットを構え、バッティングフォームに入る。
ぶるんっ!
振り抜くと、バットがまるで白刃のように空気を切り裂く。
そうだ。この感じだ。
忘れかけていた感覚を取り戻すように、何度も何度もバットを振り抜く。
振るたびにバットから力が身体に流れ込むかのような錯覚さえ覚えた。
バットを振る時はいつもフルスイング。
そのことをひいばあちゃんのバットに改めて心の中で約束した。

いつにない充実感でバットを振り、つい夢中になってしまった。
ふと鏡子さんを見るとなぜか目から涙が溢れてる。
「ど、どうしたんですか!?」
「ううん、何でも無いの。ただやっぱり私の目に狂いは無かったなって」
鏡子さんは泣き笑いのような表情でハンカチで涙を拭いた。
多分だけど、鏡子さんは私ではなく、私を通して遠い昔のひいばあちゃんの姿を見てたんじゃないかと思った。

「このバット、大事にします」
そう言いながらバットを布で丁寧にくるむ。
ひいばあちゃんと鏡子さんの大切な思い出の品というだけでなく、私の大事な記憶も呼び起こしてくれたバットだ。
試合には使えないけど、今度は私を守ってくれるような気がした。
「ええ、また試合見せてもらうわね」
「はい、ぜひ!」
そのときは今日の試合みたいな無様なバッティングは絶対に見せないぞ。
そして、私は最後に気になっていたことを尋ねてみることにした。
「そういえば、どうして私が巴おばあちゃんのひ孫だってわかったんですか。やっぱり桐子さんが?」
桐子さんが女子野球について調べているうちにひいばあちゃんに行き当たったのかと思ったのだけど、桐子さんは首を横に振った。
「綾梅さんのことを調べたのは確かに私よ。でもおばあちゃんに言われなかったらあなたが巴さんのひ孫だなんてわからなかったでしょうね」
「それじゃあどうして……?」
「おばあちゃんがね、テレビの中継であなたのバッティングを見たらしいの。それで、絶対間違い無いからあなたのことを調べてくれって頼まれたのよ。半信半疑だったけど、念のため調べてみたら本当に巴さんのひ孫さんだったんで私も驚いたわ」
「バッティングを見てって……、それだけでわかったんですか?」
そう尋ねると鏡子さんは、

「だって。私が巴お姉さまのこと、見間違えるわけ無いじゃない」

と微笑んだ。
その笑顔は、まるで年下の少女のようだった。

数日後、スポーツ新聞に女子プロ野球リーグ設立以来初のホームランが記録されたという記事が小さく掲載された。
ホームランを打った打者のバットに“こてつ”と刻まれていたかどうかについては記載は無い。

2013年01月13日

『天使轟臨』 シャイニー日向 リアクション06 Part1

西暦20X1年、冬。

運命の悪戯が数多の邂逅を生み、神々の遊戯が無限の苦悩を閃かす。

何もかも得ることなどできはしない。

何かを得るためには、何かを犠牲にしなくてはならないのだ。

ある女は言う、過去を捨てなくては未来を得ることはかなわぬ、と。

またある女は言った、過去の己あればこそ、未来を得られるのだと。

どうあれ人は選ばざるをえない、己のゆくべき道を。

その先が頂にいたる道か、奈落の底につづく断崖か、それは誰も知りえない。

だとすれば、その選択のよりどころは。

己の心のなかにしか、ないのかもしれぬ。


“――理沙子、私はね”

“――プロレスが、大好きなんだ”

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■ジャッジメント・セブン SIDE■
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▼日本 東京都江東区有明 タイタン有明 PantherGymオフィス

【ジャッジメント・セブン】が本拠地とするPantherGym。
その真夜中のオフィスにて……

「プロレスが興行である以上は――」

《南 利美》がいった。

「――まず、観客が望むものを提供しなければならないわ」

それはそうです、と《内田 希》は同意した。

「ただの競技ならまだしも、プロレスは……そうではありませんし」

競技であったとしても同じことよ、と南はつづける。

「しかし、私たちは奉仕者ではなく、」

支配者でなければならない、と南は説く。

「チケット代、PPV代よりも更に上回るものを、見せつけなければならないのよ」
「……容易なことではありませんね」
「当然よ。それができているレスラーなんて、まぁ、国内では五本の指に足りるていど」
「挙げていただいても?」
「そうね、まずは私」
「…………」

真っ先に自分を挙げるあたりは、南利美の真骨頂というしかない。

「それから、お龍さん(サンダー龍子)、麗華(ビューティ市ヶ谷)、それと……祐希子(マイティ祐希子)くらいかしらね」
「……手厳しい評価ですね」
「あぁ、貴方も悪くはないわ。一流のレスラーには違いないし」

ただ、超一流ではない。
それだけのこと。
おそれいった自信だが、それもまんざら的外れではない。

(……祭典での試合は、まさにそうだった)

先の祭典“Athena Exclamation X”のメイン戦における《武藤 めぐみ》との二冠戦は、まさにリングを、そして会場をも“支配する”ものであった。
もともと南は実力者ではあったが、これまでは祐希子や市ヶ谷らのサポートに回っていたイメージが強い。
それが、【ジャッジメント・セブン】に加担してシングルプレイヤーとして起つやいなや、その存在感は倍加したといっていい。
内田が上戸とのタッグを解消、J7についたのも、南の影響があったことは否定できぬ。
タッグ屋“ジューシーペア”としては高評価を得てきたが、それでは飽き足らなくなってきていた。
もっとも、内田の転身の理由は、そればかりではないけれども。

「フフッ。相棒に悪い、と思ってる?」
「いえ。……別に」
「そう。まぁ、どうでもいいけれど」
「…………」

上戸に、不満があったわけではない。
……いや、まぁ、皆無ではなかったが。
今こうして反体制ポジションについたのは、己の殻を破るため、といってさしつかえない。

「私の解釈ですが」

ジャッジメント・セブンの、本来の存在価値は……

「……祐希子さんが欠場している間の、話題づくりだったのでは?」
「そうかも知れないわね」

新女の、いや日本女子プロレス界のトップに立つ、マイティ祐希子。
ここ最近、故障ということで欠場を続けており、来年正月の新日本ドーム大会で復帰予定。
もっとも、その間に映画出演など芸能活動も活発におこなっており、ケガというのは表向きではないか、という声もある。

「新女ならありそうな話だけど。……ま、無傷のプロレスラーなんていないわ」

長くやっていれば、大なり小なり故障はある。
祐希子の欠場も、オーバーホールと考えれば納得はいく。
そして、その間の話題を保つための布石として……

(ジャッジメント・セブンが作られた……か)

まんざら信憑性がないでもない。
だとすれば、

(祐希子の復帰と共に、J7は消滅……あるいは、リニューアル)

それが、団体側の思惑かもしれなかった。

「ま、(越後)しのぶや斉藤(彰子)も、十分“スター気分”は味わえたでしょ」

今後しばらくは、祐希子と南によるベルト争奪を、メインストーリーとしていきたいのかもしれない。
もっとも、そのとおりに行くかどうかは、さだかではないのだ。

(つまるところは)

新女にとって、他団体との
“共存共栄”
などは、論ずるに値しない。
あわよくばすべてひねり潰し、使えそうなレスラーのみを拾い上げ、シェアを独占したいに決まっているのだ。
まして、“世界戦略”を掲げるならば、なおさらのこと。

(その点、真っ先に狙われるのは……)

東女? いや、あそこの社長は、なかなか食えない。
最近、“あの”《井上 霧子》が加担しているとあっては、なおのこと。
WARS? なるほど、トップの龍子は、考えるより先に行動するタイプ……
しかし、いまやあの“女狐”(《フレイア鏡》)がそばにいるとあっては、そう簡単には崩せまい。
その他の、吹けば飛ぶような泡沫団体は問題外とすれば……

やはり、JWI。
いくら《小川 ひかる》らがついていても、肝心の市ヶ谷がアレでは、どうにもなるまい。

(…………)

南利美はかぶりを振った。
感傷的になっている暇など、ありはしない。
何かを手に入れるためには……

(……何かを、失う覚悟がいる)

そう、たとえば、長い付き合いの友人。

いや、同じ時を過ごしてきた、家族ですらも。

(そして、人の心は、いちど離れてしまえば……)

二度とはたやすく、結びつかぬものなのだから。

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■新日本女子プロレス SIDE■
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◆リアクション06共通内容:新日本女子プロレス編(1)
◆リアクション06共通内容:新日本女子プロレス編(2)
◆リアクション06共通内容:新日本女子プロレス編(3)

▼日本 東京都品川区 新日本女子プロレス道場

新女を中心とした【HONEY★TRIP】と【みるきぃ☆れもん】のアイドルユニット抗争は、新たな局面を迎えつつあった。
祭典における対決で、みるきぃ軍のリーダー・《キューティ金井》がHT軍に引き抜かれるという異常事態が発生。
更にそののち、金井は永原・富沢らと同期トリオを結成し、事実上アイドル戦線から離脱した。

いっぽう、トップを失ったみるきぃ軍であったが、《榎本 綾》をセンターとした新体制でリスタート。
新女の《井上 美香》《山元 広美》らに加えて、他団体の《メロディ小鳩》や〈ルカ湖ノ宮〉を引き込み、ガールズバンド形式での巻き返しを図っている。
ちかぢか冠番組をかけての対抗戦が企画されるなど、年の瀬のマット界が<EXトライエンジェル・サバイバー>の話題で持ちきりになるなか、アイドルレスラー業界は独自の路線で華々しく活動していた。

とはいえ、誰もがその潮流に乗れるわけでもない。
たとえば《小縞 聡美》。
みるきぃ軍の一員であったが、榎本体制においては居場所がなく――べつだん不仲なわけでもなかったが――アイドル路線の主流からは外れてしまった。
現在はレスラーの本分に戻り、若手の実力派である〈ウィッチ美沙〉や、ルームメイトである〈フランケン鏑木〉らと共闘する流れに行きつつある。
噂では、美沙を中心として、若手による革命軍団を結成しようと画策しているとか。
それはあたかも、かつて《マイティ祐希子》らが時代を変えるべく結成した伝説の軍団……

――レッスルエンジェルス

その、再来なのかもしれない。

そんな彼女たちの動きを、〈高崎 日向〉は複雑な思いで見つめていた。
アイドル路線に活路を見出したまでは良かったが、《辻 香澄》らほどには染まりきれぬ。
さればレスラーとしての実力を示せているかといえば、そうでもない。
たとえば、先の祭典におけるシングルマッチ……

“Athena Exclamation X”試合結果(2)

あるいはまた。
若手によって競われた、EXTAS出場者決定戦……

リアクション06共通内容:ある日の闘景(1)

▼日本 東京都品川区 新日本女子プロレス道場

かつては顔を合わせるたびに嫌味を口にしていた美沙などは、最近は言葉をかけることすらしなくなった。
無視している――というほどでもなく、たんに無関心でしかないその態度は、悪口雑言よりはるかにこたえるものだった。
針のむしろ、とはこのことであろう。
しっかりとした目的を持ち、自分たちの手でそれを成し遂げようと邁進する美沙や鏑木らの姿に、日向は羨望にちかい感情を抱いていた……

彼女のケータイに一通のメールが届いたのは、そんなおりである。
全文英語であったため、一瞬、スパムかと思ったが、

「! これって……」

アメリカ遠征中、LWWのレスリングキャンプで出会い、スープレックス使いとして意気投合、アドレスを交換した若手レスラー。
ジェナ――《ジェナ・メガライト》。
メールの内容は、いたってシンプルなものである。

“Hi,Hinata.I fight in NJWP-EXTAS”

(彼女も、EXTASに……!?)

参戦が決まったらしい。

“I want to fight Hinata.”

ヒナタと闘いたい――と、メールは締めくくられていた。

(ジェナ……!)

雑念から解放され、ひたすら無心にレスリングに没頭した、あのひととき。
あの時、日向は確信した。

(そうだ……私は……!)

やはり自分は――プロレスが、何より好きなのだと。
目の前に立ちはだかっていると思えた大きな山は、登り、攻略するためのもの。
はたからは苦行としか見えぬその山登りを、彼女は好きで選んだのではなかったか。

(私は……負けないから!)

そんな気持ちを思い出させてくれたメガライトに、感謝と健闘を祈るむねを返信する……

「……っ、さ、サンキュー、だけじゃまずいし……ええっとぉ」

……英語力という高い壁は、なかなか乗り越えられないようであった。

――日本武闘館6連戦。

それが、<EXトライエンジェル・サバイバー>の日程である。
全18チームを3ブロックに分け、総当りのリーグ戦を開催。
最終日において、各ブロックの首位3チームと、敗者復活戦を勝ち抜いたチームによる決勝トーナメントをおこない、優勝を争う。
優勝チームには、賞金として100000000円……つまり1億円が贈られる。
そのブロック分けは以下の通り。

<Aブロック>

“ゴールデン・ボンバーズ”
“NJWP-USA”
“パッション・スリー”
“災凶タッグプラスワン”
“C.B.T”
“魔王と姫と魔法使い”

<Bブロック>

“xXx(トリプルクロス)”
“六角道場”
“ブラックホール・クラスターズ”
“柳生三人衆”
“アニマル・キングダム”
“パイレーツ・オブ・ヨコハマ”

<Cブロック>

“新女魂”
“ジャスティス・フォース”
“Silberne Drache”
“I・W・J”
“レガシー・オブ・レスリング”
“アンノウン・ソルジャーズ”

▼日本 東京都品川区 新日本女子プロレス道場

「……やっかいなブロックに入っちまったなぁ」

“ゴールデン・ボンバーズ”をひきいる《ボンバー来島》がボヤくのも無理はなかろう。
天才・武藤ひきいるUSA軍、最凶お嬢様を擁する災凶タッグ、パラシオンや日本海勢も侮れない。
かてて加えて、“魔王”の降臨ときている。

「ゴチャゴチャ考えても仕方ない。どいつもこいつも、ブン投げてやるだけっすよ」

《マッキー上戸》などは割り切っている。

「アイツの目を覚まさせてやるには……勝ち上がるしかないっすから」

アイツとはつまり、元パートナーのラッキー内田こと《内田 希》のことに他ならぬ。

「まぁな。……ゴチャゴチャ言うより、結果を出すしかないってわけだ。アテにしてるぜ、ゴールデンルーキー」
「…………ッ」

無言でうなずく日向。
果たして、どこまで期待に応えられるのか……それは分からないけれど。

もとより、日向も研鑽を怠っているわけではない。
アイドル軍団【HONEY★TRIP】のリーダー・《藤島 瞳》からは、“魅せるプロレス”の極意を学んだ。
それは、日向の美意識にそぐわぬところも少なくなかったが――たとえば“大向こうをうならせるバンプ(受け身)の取り方”であるとか“より派手な音の出し方”といったもの――ただ闘えばいいというものではない、プロレスの深みというものではあったろう。

「プロレスゆうのは、ボクシングなんかとちがって、お客さんにダメージが伝わりにくいんよね。せやから、あるていど大げさに“強調”する必要があるんよ」
「はぁ……でも、それって、“芝居”しろってことですか?」
「あぁ――まぁ、当たらずとも遠からずやけどね。ソレ、他の先輩の前じゃ言わんほうがええよ。ブッ飛ばされるから」
「………っ」

自分から話を振っておいて、理不尽な言いぐさであった。

「ま、ひなたんがクールキャラでいきたいなら、やめといたほうがええけど、お父さんみたいな熱血キャラでいくなら、そういうのも必要やと思うなぁ」
「はぁ……」

彼女の父、《オリオン高崎》は国内屈指の熱血プロレスラーとして知られている。
その暑苦しさにヘキエキはしても、憧れの対象ではなかった。

―――― さぁ日向、今日の夕飯は大盛りPKGだ!!
―――― え、ピーケージー? なにそれ?
―――― プロテインかけごはん! 今風に言ってみたぞ! さぁ、これでチェンジ・ザ・ボディだ!! C・T・B!! P・K・G!! C・T・B!!  P・K・G!!!
―――― ………………。

……まぁ、幼いころからの基礎トレのおかげで今があると思えば、文句ばかりも言えないけれど。

「ま~でも、うちの言うことなんて、あんま聞かんほうがええよ(アッサリ)」
「え、ええっ??」
「だって、うちもコーチや先輩の話なんか、ろくに聞いてなかったもん」

そんなことを、なぜか自慢げに言う藤島。

「ぜんぶ素直に従っとったら、そんなん、デビューもできずに夜逃げしとったんちゃうかな。適当にサボったりして、いい按配にやっとったわけ」
「……っ、でも、それでどうして……」

生存競争熾烈な新女マットで、成功できたのか?

「考えたんよ。生き残るためにはどうすればいいかって」
「…………っ」
「ひなたんも、とどのつまりは、自分でなんとかするしかないんよね~~」
「は、はぁ……」

藤島の言に惑わされつつも、汗を流すしかない日向なのであった。

▼日本 東京都千代田区 日本武闘館

<1日目>

そして迎えた、<EXトライエンジェル・サバイバー>、本番。
開幕に至るまでは色々とあったが、最大の衝撃は、理沙子の参戦であったろう。
それまでそんな気配は微塵も見せなかったのに。
盟友・上原の従妹であるという凪と組んで出場するとは。

(せめて、一声かけてくれたって……)

いいだろうに、と恨み言のひとつも言いたくなる。
それなのに、発表後に顔を合わせた理沙子ときたら、

――新女さんの大物ルーキーに声をかけるなんて、そんな大それたことができるわけないじゃない。

などと、しゃあしゃあと言ってのけるのだから、たちが悪い。

もっとも、日向は理沙子にばかり気を取られてもいられなかった。
毎試合(彼女のように大物ルーキー待遇であってすら)普段ではありえぬ一線級の強豪たちと闘わねばならぬ。
ことこの大会においては、勝ち負けもさることながら、

――壊されないこと

それも、彼女にとっては闘いであったといえよう。

さて、開幕戦。
初っぱなから、難敵であった。

“ゴールデン・ボンバーズ”
 《ボンバー来島》(新日本女子プロレス)
 《マッキー上戸》(新日本女子プロレス)
 〈シャイニー日向〉(新日本女子プロレス)

 VS

“NJWP-USA”
 《武藤 めぐみ》(新日本女子プロレス)
 《レミー・ダダーン》(IWWF)
 《ミスUSAマスク》(???)

「言うまでもありませんけど――来島さんじゃ勝てません」
「アメリカかぶれに負けるかよ!」

武藤と来島が火花散らすかたわら、謎のマスクウーマンとゴールデンルーキーも視殺戦を展開。

「ヒナタ……レッツ・ストラグル!」
「っ、やっぱり、貴方は……!!」

出場メンバーの中に、メガライトの名はなかった。
が、USA軍の助っ人覆面ファイターの体つきを一目見ただけで、日向には瞭然。
どうやら、約束を果たすときが来たようだ……

<一本目:6人タッグ>

一本目の先陣は、来島と武藤が激突。
武藤のスピードと来島のパワーが交錯、お互い一歩も譲らぬ攻防に場内は早くもヒートアップ。
そこから来島とダダーンの力比べ、上戸とUSAマスクのスープレックス対決などの展開の末、日向がリングに入る。

「ジェナッ!」
「ヒナタァーーー!!}

真っ向からぶつかり合う両者。
ロックアップからバックの奪い合い、腕の取り合い、とオーソドックスなやり取り。
それだけで、

――更に腕を上げている。

数ヶ月前とは違う、とお互いに認識する。

「でやあっ!」
「……!」

バックドロップを狙うもスカされ、逆に背後を取られてクラッチされるが、これはロープを掴んで必死に阻止。
パラシオンの沢崎を病院送りにしたスープレックスは、何としても食らってはならない。
そのまま両者譲らぬまま、USAからダダーンがみずからタッチ、

「のんびりやっとれんからなァ!」
「…………!!」

豪快なスラムで日向を沈め、一本目を先取した。

 ×〈シャイニー日向〉 VS 《レミー・ダダーン》○

 (10分32秒:ボディスラム)

その後、二本目は来島が獲ったが、三本目で上戸が武藤に敗れ、Gボンバーズは初戦を落としたのである。

<二本目:4人タッグ>

 ○《ボンバー来島》 VS 《ミスUSAマスク》×
 (9分24秒:ダブル延髄斬り)

<三本目:シングルマッチ>
 ×《マッキー上戸》 VS 《武藤 めぐみ》○
 (6分17秒:フライングニールキック)

「……っ、すみません……っ」
「ま、いいさ。どんなリーグ戦も、開幕戦は難しいもんだ」

来島に肩を叩かれながらも日向は、勝ち名乗りを受けるUSAに鋭い視線を送っていた……

そして、大会2日目。

“ゴールデン・ボンバーズ”
 《ボンバー来島》(新日本女子プロレス)
 《マッキー上戸》(新日本女子プロレス)
 〈シャイニー日向〉(新日本女子プロレス)

 VS

“パッション・スリー”
 《桜井 千里》(パラシオン)
 《ソニア稲垣》(パラシオン)
 〈坂林 玲〉(パラシオン)

パラシオン代表トリオとの対決。

「オープン戦はおしまいだ。今日からペナントレーススタートだぜ!」
「あれがニュージャパン? フン、レスリングは筋肉でやるものじゃないわ!」

<一本目:6人タッグマッチ>

開幕投手? を買って出た来島、稲垣をはじめとするパラシオン勢を、メジャー団体のプライドを見せつけるかのようなパワーファイトで蹂躙。
しかし坂林が奇襲で仕掛けたカウンター裏拳で鼻から大流血、たまらず投手交代。
中継ぎとして登場の日向と坂林が対峙する。
身長は10cmばかり違い、リーチに差があるだけに、もとより打撃戦は不利。

(あの打撃は強烈……でも、密着してしまえば!)

「とりゃああっ!!」
「…………!」

タックルで一気に距離を詰め、体をつかむやいなや高速フロントスープレックスでブン投げる!
更にコーナーに昇り、ミサイルキックで追い討ちを……

「……っと!」
「つあっ!?」

これは読んでいたか、坂林が間一髪でかわして自爆を誘い、

「……どおおおっ!!」
「んっぐううっ!?」

倒れた日向の土手っ腹に、強烈なヒザを叩き込む。
そのまま、顔面へマウントパンチの連打!
もちろんプロレスルールでは反則なので、レフェリーに制止される。

「こ……のおおおっ!!」
「…………!!」

カッと熱くなった日向が、突っ込んできたところへ……

「おっぐっ!?」

カウンターのヒザが待ち受けていた。
アゴに入ったクリティカルな一発で、日向の意識は吹き飛んだ……

 ×〈シャイニー日向〉 VS 〈坂林 玲〉○
 (10分36秒:ニーリフト)

ゆえに、その後の展開はほとんど記憶にない。
気がつけば、リング上で勝ち名乗りを受けていた、ということになる。

<二本目:4人タッグマッチ>

 ×《ソニア稲垣》 VS 《マッキー上戸》○
 (7分14秒:ヘッドバット)

<三本目:シングルマッチ>

 ×《桜井 千里》 VS 《ボンバー来島》○
 (10分44秒:ぶっこ抜きジャーマン)

「やれやれ、まずは1勝だな」
「あと全部勝てば、決勝トーナメントなんでしょ? 楽勝っすね」
「気楽でいいねぇマッキ」
「すみません……っ、私、また……」
「気にすんな。お前さんは、お前さんにできる仕事をやりゃあいいのさ」
「…………っ」

<大会3日目>

「……いやはや。また面倒なのが出やがったぜ」
「……あの御仁とだけはやりたくなかったっすね」

来島や上戸すら、嫌がる相手……
だがそれも、仕方ないかもしれない。
なにしろ、

“ゴールデン・ボンバーズ”
 《ボンバー来島》(新日本女子プロレス)
 《マッキー上戸》(新日本女子プロレス)
 〈シャイニー日向〉(新日本女子プロレス)

 VS

“災凶タッグプラスワン”
 《ビューティ市ヶ谷》(JWI)
 《十六夜 美響》(VT-X)
 〈紫乃宮 こころ〉(JWI)

「オーーッホッホッホッ! この兆両役者相手には不足もいいところですけれど、せいぜい引き立て役として輝かせてさしあげますわ!」
「麗華さま流石です!」
「………………」

リング上で相対したビューティ市ヶ谷という“生物”は、予想を遥かに超えた……何か、のようだった。

<一本目:6人タッグマッチ>

この頃になると。
日向にも、この試合形式の“攻略法”がわかってきていた。
ぶっちゃけ、自分が勝ち星を上げるのは容易ではない。
ならばせめて、相手のエース格に負ければ、“道連れ”にすることができる。
だが、相手が同程度のキャリアなら、話が違う。

JWIの紫乃宮……先日おこなわれた“Top of the Cruiser Girls”にも参戦していた。
そのさいはブロックが別だったため、手を合わせることはなかったが、

「麗華さまのため……絶対、負けられない!」
「…………!」

並外れた気迫は、あのときより更にパワーアップしているような気さえする。
あの市ヶ谷のどこにそんなに心酔しているのかは、わからないけれど。
パワーでは上戸を相手にしても引けをとらないものがあるだけに、

(正面からぶつかるのは愚策!)

「せりゃあっ!」
「……うわっ!?」

奇襲のヘッドホイップシザースで投げ飛ばし、機先を制する。

「こ……のっ!」
「くうっ!!」

ダッシュからの顔面へのサッカーボールキックをあやうくかわし、

「……でええいっ!」
「!?」

トップロープを踏み台にしてコーナーポストに飛び移り、そこからミサイルキック!
幻惑されたこころはこれをまともに食らい、もんどりうって倒れる。
華麗さと威力のあいまった一撃に、場内からもどよめきが起こった。

(っ、やった……!)

練習でもやったことのない流れだったが、ズバリとはまった。

(あの動き……)

ひそかに試合を観戦していた理沙子は、思わずうなったものである。

(あれは……月美さんの)

月美、すなわち日向の母《LUNA》が得意としていた華麗なトライアングル・ミサイルキック。
反発するようなことを言いつつ、しっかり参考していたのか?
あるいは、幼い頃に観たムーブが、とっさに出たのかもしれない。

(おやおや……)

こころに代わってリングに入ってきた“彼女”を観て、理沙子は微笑をうかべた。

(さて、どれだけ通用するかしらね?)


ありていにいえば、まったく通用しなかった。
ビューティ市ヶ谷と日向との闘いは……
試合というより、一方的な破壊。

「う、ぐ、ぐ……!!」
「やれやれですわ。今の新女には、こんな三下しかおりませんの? とんだ凋落ぶり。驕る者ひさしからずとはよく言ったものですわ!」

日向を踏みつけながら大笑する、たぶん日本一傲慢な当人。

「麗華さま、タッチを!」
「おっと……そうでしたわね。まったく、誰ですの? こんな七面倒なルールを考案したのは」

こころと交代しようとする市ヶ谷……だったが、その手を叩いたのはもう一人の選手。

「!? ちょ、十六夜さんっ?!」
「フフッ。ずっと休んでいるのも、退屈なの」

九州の雄【VT-X】のトップ、“災厄の女帝”十六夜美響である。

「おい、高崎っ! 代われ――」
「…………っ」

来島の声をよそに、歯を食いしばって立ち上がり、十六夜をにらみつける日向。

「後は……っ、お任せしますっ!」

ここで、日向が十六夜に敗れれば。
残るは来島&上戸と市ヶ谷&紫乃宮。
二本目で一枚おとる紫乃宮を叩ければ、あるいは勝機も見えてくるであろう。

「フフ……少しは楽しませてくれるのかしら? 月の落とし子さん」
「……!」

妖しく舌なめずりしながら、嗜虐的に微笑む十六夜。
果たして手も足も出ず、ボロボロにされる日向……
しかし、その目は死んではいなかった。

「でやあっ!」
「……!」

とっさのトラースキックで十六夜をグラつかせたところへ……

「………………!」

身体が、本能に突き動かされるように反応する。
コーナーポストを、一息に、駆け上がり……
そのまま、翔んだ。

『お…………おおおおお!?』

それは、観たものが思わず目を奪われざるをえない、羽が生えているかのような、飛翔。
太陽は、高らかに昇り……
そして、沈んだ。

<一本目:6人タッグマッチ>

 ×《十六夜 美響》 VS  〈シャイニー日向〉○
 (10分27秒:360°スプラッシュ+エルボー)

3カウントが叩かれるや、場内は割れんばかりの大歓声に包まれた。

 “永遠の未完の大器”
 “昇らぬ太陽”
 “サンシャインガール(笑)”
 “へなたん”

とさんざんコケにされてきた彼女が、その名に恥じない大仕事をやってのけたのだから、それも道理であろう。
のちに『サンセットスプラッシュ』と称されることになる大技の、衝撃的なお披露目であった。

日向畢生のジャイアントキリング(大物食い)により、風向きは一気にGボンバーズに傾いた。
市ヶ谷軍はそのままペースを取り戻せず……

「ええいっ、猪口才な!」
「てめーみたいなのを……猪武者っていうんだよ!」
「……!?」

突進してきた市ヶ谷を来島がカウンターのDDTで仕留め、二本先取にてGボンバーズが勝利を果たしたのである。

<二本目:4人タッグマッチ>

 ○《ボンバー来島》 VS 《ビューティ市ヶ谷》×
 (6分26秒:DDT)

「やりやがったな、高崎!」
「あんな隠し玉があるとはな。菊池サンに教わったのか?」
「いっ、いえ……その、勢いというか」

あれは、もうほとんど無意識的なもので。
のちに映像を観返しても、もう一度やってみる気には、なかなかなれなかった。
これを「技を大事にしている」と見る向きもあったが、要は恐怖心と……空中殺法で名高い母への、複雑な心情ゆえであろう。

<4日目>

“ゴールデン・ボンバーズ”
 《ボンバー来島》(新日本女子プロレス)
 《マッキー上戸》(新日本女子プロレス)
 〈シャイニー日向〉(新日本女子プロレス)

 VS

“C.B.T”
 《相羽 和希》(日本海女子プロレス)
 《杉浦 美月》(日本海女子プロレス)
 《ノエル白石》(日本海女子プロレス)

3連敗でもはや予選突破の目がないCBTだが、意地を見せんとぶつかってくる。
杉浦のテクニックや白石のパワー、相羽の……えーっと、相羽の元気のよさなどで畳み掛けてくる。

「ちょっと!? ボクだけポイントぼんやりしてない!?」

日向が白石のパワーに屈したものの、二本目・三本目を上戸・来島が奪取、3連勝でリーグ戦突破に望みを託したのである。

<一本目:6人タッグマッチ>

 ×〈シャイニー日向〉 VS 《ノエル白石》○
 (7分32秒:ロメロスペシャル)

<二本目:4人タッグマッチ>

 ○《マッキー上戸》 VS  《杉浦 美月》×
(9分38秒:ジャンピングニーパット)

<三本目:シングルマッチ>

 ○《ボンバー来島》 VS 《相羽 和希》×
 (4分26秒:延髄斬り)

<5日目>

そして、リーグ戦最終戦……

“ゴールデン・ボンバーズ”
 《ボンバー来島》(新日本女子プロレス)
 《マッキー上戸》(新日本女子プロレス)
 〈シャイニー日向〉(新日本女子プロレス)

 VS

“魔王と姫と魔法使い”
 《ダークスターカオス》(WWCA)
 《ソフィー・シエラ》(TWWA)
 〈ルカ湖ノ宮〉(日本海女子プロレス)

ここまで4連勝の魔姫魔に対し、3勝1敗のGボンバーズは、これに勝てば逆転で決勝トーナメント進出となる。
湖ノ宮は紫乃宮同様TCGに参戦していたが、やはりブロックが違っていたので対決はなかった。
聞けば、チームメイトのギャラは自腹らしく、優勝して賞金をゲットするのが至上命題らしい。
……日本海女子というのは、なかなかに破天荒な団体らしかった。

「負けられない……日本海女子の看板と、そして私の人生のために!!」
「そんなの、こっちだって……っ!!」

先発を買って出た湖ノ宮と日向、感情を剥き出しにしてぶつかり合う。

「わが右腕に集え、混沌とか闇の力とか! ダークスターハルカッ……ホゲ~~~!?」

カオス譲りの? ラリアットを放とうとした湖ノ宮の顔面に、カウンターでドロップキックを食らわせる日向。
その後、本家カオスの猛攻に追い込まれたりしたものの……

<一本目:6人タッグマッチ>

 ×〈シャイニー日向〉 VS  《ソフィー・シエラ》○
 (12分12秒:パイルドライバー)

<二本目:4人タッグマッチ>
 ○《マッキー上戸》 VS 《ダークスターカオス》×
 (4分26秒:サンドイッチラリアット)

<三本目:シングルマッチ>
 ○《ボンバー来島》 VS 〈ルカ湖ノ宮〉×
 (4分12秒:ボストンクラブ)

上戸がカオスを撃破する殊勲をあげるなどして、ついにBボンバーズ、逆転で予選ブロック突破を果たしたのである。

「やれやれだな。ま、最低限の目標はクリアだが」
「ここまできたら、優勝しかありませんよっ」

経験豊富な来島と上戸も、テンションが上がっている。
何しろ、新女系チームで勝ち残ったのは、彼女たちのみ。

「それに、アイツをブン殴るには、決勝まで行かないとですからね」
「……流石にやるな、アイツらは」

内田ようするJ7の“xXx(トリプルクロス)”は、Bブロックを全勝(しかも全試合で二本勝利!)で突破。
彼女たちと闘うには、お互い決勝まで行くしかない。

<最終日>

かくして“ゴールデン・ボンバーズ”は4勝1敗でAブロックを制し、決勝トーナメントに駒を進めた。
相対するは、Cブロック1位・J7を追放された《カーメン成瀬》ひきいる正体不明のミイラ集団“アンノウン・ソルジャーズ”である。

“ゴールデン・ボンバーズ”(Aブロック1位)
 《ボンバー来島》(新日本女子プロレス)
 《マッキー上戸》(新日本女子プロレス)
 〈シャイニー日向〉(新日本女子プロレス)

 VS

“アンノウン・ソルジャーズ”(Cブロック1位)
 《ミステリアスパートナー1号》(?)
 《ミステリアスパートナー2号》(?)
 《ミステリアスパートナー3号》(?)

「わけのわからねー連中だが、油断は禁物だな」
「…………っ」

Cブロックでは、理沙子ら“レガシー・オブ・レスリング”に敗れたのみで、4勝1敗での勝ち上がり。
実力は確かなものに違いない。

<一本目:6人タッグマッチ>

先発は来島とMパートナー3号。
来島の剛力をのらりくらりとかわす体術は、見かけによらぬもの。
代わって上戸と2号がやり合うも、これまたつかみどころがない。
タッチした日向もペースつかめず、ゾンビパウダーを食らうなど幻惑されたあげく、あえなくピンフォールを奪われた。

 ×〈シャイニー日向〉 VS 《ミステリアスパートナー2号》○
 (11分14秒:ヒップアタック)

Bボンバーズ、そのまま流れをつかめず……

<二本目:4人タッグマッチ>

 ×《マッキー上戸》 VS 《ミステリアスパートナー1号》
 (3分31秒:飛びつき腕ひしぎ逆十字)

つまるところ、ストレート負けに終わってしまった。
かくして、BボンバーズはUソルジャーズに敗退、決勝進出はならなかったのである。
日向にとってみれば、まぁまぁ……というには、物足りぬ結末であったといえよう。
十六夜から大金星を挙げた以外は一本目で獲られており、お世辞にも活躍したとはいえぬ。
この経験を肥やしにできるかどうかは、彼女の今後次第であろう。

ちなみに、決勝戦のカードは……

“アンノウン・ソルジャーズ”
 《ミステリアスパートナー1号》(?)
 《ミステリアスパートナー2号》(?)
 《ミステリアスパートナー3号》(?)

 VS

“災凶タッグプラスワン”
 《ビューティ市ヶ谷》(JWI)
 《十六夜 美響》(VT-X)
 〈紫乃宮 こころ〉(JWI)

「……ゴキブリなみにしぶとい奴らだな」

来島が呆れるのも無理はない。
Aブロックで敗退した災凶Tだが、敗者復活ガントレットマッチで破竹の5連勝を果たして大復活。
準決勝では、因縁浅からぬ“xXx(トリプルクロス)”と対決、これを下しての決勝進出である。
とはいえ。
今日だけで実に7試合目。
まだ2試合目にすぎないUソルジャーズとは、消耗度の差は歴然。
ここにいたっても、

――このていど、ちょうどいいハンデですわ。

と呵呵大笑する市ヶ谷の図太さは底が知れぬ。
かくて決勝戦は、異例となる外敵チーム同士の対決……と、思われた。

が、事態は意外な展開をむかえる。
決勝のゴングを前に、Uソルジャーズがその正体を露にしたのである――

黒の長髪が目立っていた3号は、すなわち《氷室 紫月》――
小柄なテクニシャンの2号は、《ナイトメア神威》――
そして、長身の実力者である1号は……《カンナ神威》。

「うちらは【ジャッジメント・セブン】の別働隊! さしづめ、“リアル・ジャッジメント”ちゅうこっちゃ!」

J7を追放されたとは方便に過ぎなかった《カーメン成瀬》……いや、《成瀬 唯》がうそぶく。
そして、J7が決勝まで残っていれば途中で負けても良かったが、こうなっては仕方ないから優勝させてもらう、と大言壮語。

“リアル・ジャッジメント”
 《カンナ神威》(フリー)
 《ナイトメア神威》(苛無威軍団)
 《氷室 紫月》(フリー)

 VS

“災凶タッグプラスワン”
 《ビューティ市ヶ谷》(JWI)
 《十六夜 美響》(VT-X)
 〈紫乃宮 こころ〉(JWI)

<一本目:6人タッグマッチ>

一本目、カンナが十六夜を仕留め、この時点で絶体絶命……

 ○《カンナ神威》 VS 《十六夜 美響》×
 (2分20秒:エクスプロイダー)

<二本目:4人タッグマッチ>

しかしここでこころが大奮起、氷室から殊勲の星をあげてイーブンに。

 ×《氷室 紫月》 VS 〈紫乃宮 こころ〉○
 (11分53秒:パワーボム)

<三本目:シングルマッチ>

ナイトメアと市ヶ谷の一騎打ちとなる――が、ここで《ライラ神威》ひきいる【苛無威軍団】が乱入、ノーコンテストに。

 ▲《ナイトメア神威》 VS 《ビューティ市ヶ谷》▲
 (14分10秒:苛無威軍団乱入によるノーコンテスト)

しかし龍子たち他チームが苛無威軍を排除、再試合となる。
最後は市ヶ谷渾身の“美神降臨”(災厄降臨)が炸裂、決着となった――

 ×《ナイトメア神威》 VS ○《ビューティ市ヶ谷》(JWI)
 (4分42秒:美神降臨)

しかしそれもつかのま。
試合後にはJ7がリングを占拠、そこへ再度寿千歌ひきいる苛無威軍団が現れる。
遺恨のある両軍は対立……と思いきや、南と千歌がガッチリと握手。

――マット界にはびこる罪は七つどころではない。幾千にもおよぶ。
――そのすべての罪を裁くため、あえて悪をも呑み込もう。

ここに新軍団【ジャッジメント・サウザンド】(J1K)を結成を宣言、日本マット界の完全制圧を掲げたのである。
これに新女正規軍をはじめ、市ヶ谷や龍子らが反発、“J1Kvs女子プロレス界”の構図がより明解なものとなったのはいうまでもない。

このとき、日向も来島らに従ってはいたが、市ヶ谷や龍子らに混じってはその他大勢にすぎぬ。
インパクトを残せなかった、といっても、仕方のないところであったろう。

とまれかくまれ。
大混乱の末、歳末のビッグイベント<EXトライエンジェル・サバイバー>は幕を閉じた……

▼日本 東京都品川区 新日本女子プロレス寮

遥かに格上の相手との連戦は、日向の肉体に悲鳴を上げさせるに十分だった。
故障こそまぬがれたものの、熱を出してダウンしてしまったのである。
それでも、ほんの数日で回復にむかったのは、流石に若さというしかない。

「すこしゆっくりすればいいんじゃない? 無理して悪化しちゃったら、元も子もないし」
「う……ん」

《辻 香澄》に言われ、おとなしくしておくことにする。
どのみち。
わずかな休息の先には、苛酷な毎日が待っているのだ……いやおうなしに。

果たして。
回復した日向に、ハードな選択が待っていた――


 → 『天使轟臨』 シャイニー日向 リアクション06 Part2

2013年01月05日

きんが

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

年末年始のお休みもとうとう明日で終わりですが、今年は親戚の集まりも無く、友人とも1回飲みにいったっきりで、久しぶりの長期休暇をのんびりと過ごすことができました。
部屋の掃除やら、録り溜めたアニメの消化やら、PC内のファイル・ソフトの整理やらもそれなりにできたので、のんびりしつつもそれなりに充実した時間だったかなと。

思えば、昨年も色々ありました。
特に昨年後半は仕事がめっさ忙しくて、毎日11時過ぎに帰ってくるような状況だったので、あっという間に過ぎ去ったような気がします。

昨年のことを振り返ろうとブログを見なおしたら、何も振り返れなかった…。
それくらい、我ながら昨年の更新のサボりっぷりはヤバいですな。
読書メーターとレッスルPBeMのエントリを除くと仙台行った時新潟のアニソンしばりノアの崩壊についてしか書いてないという為体。
正之さんのコンサートなど参加したライヴやイベントの感想とか、十数年ぶりにコミケに行ったこととか、書きたいこと、書くべきことは色々あったんですが…。

昔、「学ぶ暇あらずと謂う者は暇ありと雖も亦学ぶ能わず」という言葉を知って以来、勉強だろうが趣味だろうが忙しいってことを極力言い訳にしないようにしてる(まあ、今まではそんなに忙しいことも無かったけど)んだけど、使える時間が減ったことで改めて自分の時間の使い方の下手くそさを痛感したなー。

前々から思ってたけど、やっぱりブログの更新、特に感想なんかはその日の内に書かないとダメだわ。
日が経つにつれて記憶も薄くなるし、そのときの気持ちは無くなるわけじゃないけど、心の深い方の部屋に移動しちゃうので、引っ張りだすのも大変になってしまう。
思いついたことを垂れ流しにできるTwitterと違って、ブログにちゃんとした文章で残すのはそれなりに大変ではあるのだけど、やっぱりそういう作業は俺にとって必要だし大事だと思うのさ。

そんなわけで、今年は「思い立ったが吉日」と「一寸の光陰軽んずべからず」を目標というかモットーに過ごしていこうかなと考えてます。
また明後日からは日々の暮らしに追われていくんだろうけど、そんな中でも一日一日を大事に過ごして行きたいです。

このサイト、このブログも今年はもっと更新する、とはお約束はできませんが、変わらずお付き合いいただければ幸い。