『平成二十三年の野球娘。』あとがき的なもの
コミケに参加された方はお疲れ様でした。
もうすでに『大正野球娘。』の合同誌『櫻花球宴』を手に入れた方もいるかと思います。私はコミケには行ってないのでこれを書いている時点では実物をまだ見ていなかったりするんですが。
さて、『櫻花球宴』に寄稿した私の小説『平成二十三年の野球娘。』ですが、色々と小ネタを仕込んであります。
本当は自分の書いたものについてあれこれ語るのは野暮の極みってもんですが、ネタ元に敬意を表する意味も込めて、突っ込まれる前に後書き代わりにネタばらししておきます。
一応ネタバレを含んでますので、通販なんかで今後購入予定の方は読了後にご覧下さいな。
(13/01/15追記)
全文を公開しましたのでどうぞご覧くださいませ。
→平成二十三年の野球娘。: nokotsudo BLOG
まず、この話は北村薫『1950年のバックトス』収録の同名の短編小説から着想を得ています。この作品を読まなければこの話は思いつかなかったでしょう。
この話を思いついたからこそ合同誌に参加を決めたという部分もあるので、『1950年のバックトス』に出会っていなければ合同誌に参加していなかったかもしれません。
私の書いたものと同じように、時を越えた野球少女たちの絆の話です。短編ですが印象的な作品ですので、機会があれば是非読んでほしいです。
鏡子の孫娘として登場した秋川桐子さんですが、彼女は池田恵さんの女子野球コミックの名作『無敵のビーナス』の登場人物です。新聞記者という立場を生かして、鏡子と綾梅を繋ぐキャラクターとしてゲスト出演してもらいました。
『無敵のビーナス』が90年代の設定なので2011年時点では四十台半ばになっているはずですが、原作での年齢である34歳(綾梅には二十台後半に見えたんですな)でご登場願いました。
『無敵のビーナス』の世界では女子も男子相手にボコスカホームランを打ってますが、その辺はまあ現実準拠で。
巴が綾梅に打撃の心を教えるシーンですが、これはLOVER-SOULの同人ゲーム『花咲くオトメのための嬉遊曲』の氷室乃雪嬢のセリフを意識しています。シチュエーション、キャラクター、何より私の筆力の無さからかなり元ネタとは違ってますが、白球のイメジ、なんて言葉でわかる人にはわかってもらえたかも。
あと、最初に執筆していた時は太宰経夏さんが桐子さんの代わりに出演していました。役割的、年齢的に桐子さんの方が向いているのと、キョウコとケイカでは音が似ているので代わってもらいました。キャラ的には経夏さんの方が合ってた気がします。
設定は基本的にアニメ版を踏襲しています。原作の設定を意識して巴は当時珍しい職業婦人で新聞記者をしていたという記述を最初は入れていましたが止めました。
また、巴は一真と結婚して柳巴になったということにする予定もありましたがそれも止めておきました。
鏡子も名字をあえて名乗らせませんでしたので秋川姓じゃ無い可能性もあります。巴と鏡子が誰と結婚したのかはみなさんのご想像にお任せしましょう。
巴と鏡子以外の生死は全然考えてませんが何人かはまだ生きてるのかなあ。特に乃枝は、ってそれは漫画版の話ですな。
女子プロ野球は現実の女子プロ野球リーグをモデルにしていますが、私の知識と調査不足で間違っているところはあるかもしれません。その辺は大目にみてください。一度は生観戦しなくちゃ、とは思ってるんですが。
女子プロ野球をご存知の方には言うまでもないですが、作中で登場した兵庫の投手は小西美加選手、京都の監督はヨッシャー佐々木恭介監督のことです。
執筆中には女子プロ野球リーグではホームランは記録されていなかったんですが、7月23日に前述の小西選手によって史上初のホームランが記録されてしまいました。
もしかしたら合同誌が出る前に現実でも記録されるかもなーとはちょっと思ってたんですが、まさかホントに出るとは……。まあ綾梅の方が時期的にはやや早かったので幻の第1号だと思っといてください。
「記事が小さく掲載された」なんて書きましたが、関西の新聞なんかには写真付きで結構大きな記事になってたみたいです。こんな感じで→小西が歴史弾!女子プロ野球1号/野球/デイリースポーツonline
綾梅が試合でこてつを使えないと言っているのはもちろん古いせいもありますが、女子プロ野球リーグでは金属バットを使用しているからです(木製バットを使っちゃいけないルールは無いと思いますが)。
原作で使っていた金属バットなら試合で使えるかも、とも思いましたが、あのバットはUボートとともに海の底だしな(だからそれは漫画版設定だ)。
それに、やっぱり「こてつ」ですよねえ。
とりあえず、語っておきたいのはこんなところかな?
数年ぶりに小説的なものを書きましたがなかなか楽しかったので、もし合同誌第3弾があるのならまた参加したいと思っとります。
この場を使って、編集委員のみなさんに改めて感謝をば。