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2008年09月14日

『プリズムコート』をウン年ぶりにやってみた

さてさて、今回“ウン年ぶりにやってみた”のはコレ。
と言ってもプレイしたのは2ヶ月くらい前だったりしますが。

PSギャルゲーの中でも五指に入るくらい大好きなゲーム。
特にスポーツもののギャルゲーとしては『プリコー』以上のゲームは未だに無いんではないかと思う。まあ、他が『ドキプリ』だの『夏色剣術小町』だのしか無いのであまりえばれたもんじゃないですが。

発売は今は亡き富士通パソコンシステムズ。当時はNECも東芝もギャルゲー出してたからなあ。いい時代だった。
FPSは他にも『100万円クイズハンター』『パネルクイズ アタック25』などのゲームも発売してました。
そういえば富士通繋がりってわけじゃないだろうけど、当時NIFTY-Serveでも評判になってたそうな。今やパソコン通信なんて知らない若人も多いんだろうなー。
それにしても、富士通か…。

プレイヤーは女子バレー部の監督となり、チームを全国制覇に導くのが目的。
育成・試合がメインだけど、条件によってキャラクター個別ルートに入ることが可能。
スポ根あり、ラブコメあり、友情あり、パロディありと、どのシナリオもおもしろい。
ただ、好感度だけでなく試合の勝敗やキャラクターのポジションが条件のキャラもいるので、条件を知らないと個別ルートに入れないキャラもいる。それほど育成・試合面で厳しいゲームじゃないけど、ルート分岐だけは攻略情報に頼った方が無難。
あと某キャラのエンディングは対応を間違えるととんでもない鬱エンドとなるので要注意。

シナリオも良いのだが、このゲームの何が素晴らしいかといえば育成ゲームとしての出来の良さ。
試合中はSDキャラが動いて進むのだが、最初は選手の能力も低く、チームワークも無い弱小チームで、SDキャラの動きに呆れたりイライラしたりすることもしばしば。
サーブは外れる。ブロックは当たらない。レシーブはサーブ以外拾えない。レシーブしたボールにセッターが追い付けない。トスを上げてもタイミングが合わずスパイクを打てない。スパイクを打ったら打ったでネットに当たるか、ホームラン…。
そんなへっぽこだったチームが特訓を重ねていくうちにだんだんバレーらしい試合をやり始め、やがて全国の強豪と渡り合えるように成長していく。
コーナーを狙った絶妙なサーブが決まりだす。相手のスパイクを高いブロックで防ぐ。フライングレシーブでスパイクを拾う。レシーブしきれなかったボールもセッターが諦めずに追いかけコートの外から二段トス。そして絶妙のコンビネーションで決める時間差攻撃やバックアタック…。
育成ゲームの醍醐味はもちろんキャラクターの成長だけど、それを能力の数字だけでなくSDキャラの動きでプレイヤーに実感させるのは見事。

試合中にプレイヤーができることはアドバイスと2回のタイムのみ。やれることが限られているのがかえってヤキモキしながら見守る監督の気持ちを味わえる。
とはいえ、アドバイスとタイムの効果は少なくない。的確なアドバイスは選手の動きにピリリと効いてくるし、タイムのときに選手にかける言葉によってチームの士気や能力が大きく上下する。
ライバル校との対決時には特にタイムが重要で、相手のエースが繰り出す必殺技を破るためには監督の的確な指示が必要。必殺技を破れるかどうかは勝敗に大きく影響するため、監督の洞察力が重要となってくる。

育成&恋愛ゲームとしても素晴らしいのだけど、このゲームのもうひとつの凄いところは何といっても全編に亘るパロディの嵐!
登場キャラクターの苗字が全てミステリー作家などというのはほんの序の口で、作品の至る所がネタだらけ。
各イベントのタイトルまでがパロディで統一されていて『ガンダム』『エヴァ』『ウルトラセブン』『クリィミーマミ』『快傑ズバット』などのサブタイトルが元ネタになっているという凝りよう(イベントタイトルと元ネタについてはこちらを是非どうぞ)。
また、出てくるネタが相当マニアック。発売当時ですら25禁なんて言われていたくらいなので、今だと30代後半でないとわからないネタも多い。
しかも、ネタの使い方も捻くれているというか判りにくい。例えば川原泉の『笑うミカエル』を読んだことのある人でも麦チョコ666がマニュファクチャーなんてネタは覚えていない人も多いだろう。
特にギャルゲー界最強のオタクヒロイン・あかりのマニアックさは凄まじい。第一声が「来たよ、プレッシャー!」で、主人公との最初の会話が「バレーはまだできないけど、きっと覚えます」だからね(もちろんベスト選択肢は「バカなこと言うなよ」だ!)。
初プレイしてから10年近く、私もオタクとしての知識は多少なりとも増えただろうと、今回はネタの宝庫あかりシナリオに挑戦したんだけど、元ネタが判別できたのは極わずかでした。修行が足りない。つーか『流星人間ゾーン』なんか知らんがな。

OPムービーも大好き。長沢美樹の歌声にひれ伏せ!

CD化されていないのは返す返すも残念ですが、裏技を使用するとフルコーラスが聴けます。

キャストも長沢美樹、冬馬由美、丹下桜、水沢潤、荒木香恵、久川綾と当時の人気どころ揃い。ライバルキャラも篠原恵美、天野由梨、皆口裕子、山崎和佳奈など鉄壁。…今見直してみると『セーラームーン』率が高いなあ。
ゲームの収録はキャラごとに別撮りになることが多いけど、今作においてはキャラクター同士の会話はちゃんとキャストを集めて収録したそうだ。アルバムモードのみんなの会話とか雰囲気あっていいよねー。

あと、『プリコー』を語るのならば『賢者の楽園』にも触れなくてはいけないだろう。
『賢者の楽園』は『プリコー』の企画・脚本を担当した神無月さんの個人サイト。初期はCGサイトだったのだけど、アニメの辛口レビューを掲載し始めたころから掲示板に濃ゆいオタクの方々の集まるようになっていった。
『賢者の楽園』のレビューと掲示板はぬるいオタクの私にとって非常に勉強になった。ここがなければ『宇宙海賊ミトの大冒険』や『メダロット』や『コメットさん☆』や『ボンバーマンジェッターズ』を観ることも無かったかもしれないし、今より腑抜けたオタクになっていたかもしれない。
ここ数年アニメを観なくなったのも『賢者の楽園』が閉鎖したことの影響は少なからずある。
私の中ではアスペルギルスさんの18禁SSサイトと並んで閉鎖を惜しんだサイトだ。そういや、アスベルギルスさんに早苗と真琴のSS(早苗攻め)をリクエストして書いてもらったなー。保存している人がいたらzipでくれ。

せっかくの中嶋敦子さんのキャラクターを生かし切れていないグラフィック、1プレイ10時間超とやや長めのプレイ時間、イベントの頻度が少なくプレイがやや単調と、今の時代となっては古臭い部分も否めないけど、冒頭に書いたようにスポーツ育成もののギャルゲーとしては屈指の名作。
スポーツもの、育成ものが好きな人はもちろん、我こそはという濃ゆいオタク知識の持ち主にも是非プレイしてほしい一本です。

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