『数学ガール』
“彼女"とは共に歩いていくはずだった。
“彼女”と別れてしまったのは、私が歩みを止めてしまったから。
“彼女”と別れたとき、私がどう感じたのかもう覚えていない。悲しかったのか、悔しかったのか、それとも、ホッとしたのだったか。
会おうと思えばいつでも会えたのに会わなかった。もう拘りなんて無い、そう考えていたこと自体が拘りだったのかも知れない。
“彼女”と別れてから数年。一冊の本が“彼女”と再会させてくれた。
久しぶりに会った“彼女”は、あの頃と全く変わっていなかった。
ああ、そういえばこの人はこんなに美しかったんだ。そんなことも忘れていた自分に驚いた。
“彼女”の名前は“数学”という。
なんちゃって。ま、ウソは書いてないよな。
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んで、私と“彼女”を再会させてくれたのがこの本。きっかけはAmazon先生になぜかオススメされたから。
数学書や参考書ではないし、かといって小説というには数式が多すぎる。啓蒙書というのも違うかな。
主人公の“僕”と二人の少女が、数学を通して語り合い、向かい合う、そんな物語。
数学の内容としては高校数学から大学レベルまでさまざま。
正直、何年も数学から離れていた私には難しい部分もあって、ちゃんと数式を追いかけ切れていない部分も多い。
自分の数学の知識が相当抜け落ちていることに我ながら愕然としましたわよ、ホント。
何年かぶりに、紙に数式を書き綴るなんてこともやりました。
昔、確かに感じていた、問題を解くときのワクワク感、美しい解法で答えを導いたときの解放感を思い出した。
数学って、おもしろいもんだったんだよな…。
あの頃のような関係には戻れないけど、今なら“彼女”とまた違った関係を築けるんじゃないかと思う。
とりあえず、高校生向けの数学の参考書でも買ってこようかな。
「数学に戻ろう。ねえ、次は何を考える?」
「先輩! また明日も数学しましょうね!」