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2006年10月11日

『アンダースロー論』

今更ながら渡辺俊介・著『アンダースロー論』を読んだ。

アンダースロー論アンダースロー論
渡辺 俊介


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千葉ロッテマリーンズが世界に誇る(というのはさすがに言い過ぎか)サブマリン・渡辺俊介の著書。マリーンズファンでアンダースロー萌え、もちろん俊介個人のファンでもある私が読まないでだれが読むというのだ。

今や“絶滅危惧種”とさえ言われ、滅多にお目にかかれなくなったアンダースロー投法。その希少性ゆえに教えることのできる指導者もほとんどおらず、若い選手がアンダースローを修得しようと思ってもなかなか難しい状況となっている。
俊介自身、アンダースローについてよく技術的な質問を受けるという。そのために、アンダースローを修得しようとする選手の助けになれれば、ということでこの本を書いたようだ。
『アンダースロー論』というタイトル通り、アンダースローに関する技術的なことが中心ではあるが、それだけに留まらず、プロ入り後なかなか1軍で活躍できずに苦悩していた時期のことや、少年時代から社会人野球時代まで歩んできた道のりなど、野球人、そして人間・渡辺俊介の本質に触れる内容となっている。

プロになるような野球選手は少年時代、あるいはアマチュアの頃からエースやチームの中心打者として活躍してきた者ばかりだ。
ところが俊介は違う。少年時代も、高校時代もエースでは無く、2番手以下の投手だった。
また、プロの投手はライオンズの松坂大輔、マリーンズの同僚の小林宏之のように高い身体能力を持つものが多く、ベイスターズの石井琢朗、マリーンズの福浦和也のように投手から打者に転向して成功したものも多いが、それも俊介には当てはまらない。交流戦におけるバッティングを見てわかるように俊介の身体能力は決して高くないし、足も遅い。身体つきもひょろっとしてとても野球選手には見えない。
そんな俊介がプロ野球の選手として活躍できたのは、彼自身が言っているように他の人より身体の柔軟性が高かったことと、それを生かせるアンダースローという投法と出会ったからだ。それは間違いない。
ただ、この『アンダースロー論』を読めばそれだけではないことが良くわかる。
パッと見、野球選手らしからぬ、穏やかというかボーっとした雰囲気を漂わせている俊介だが、子供の頃から父親に厳しく育てられたこともあり、見た目よりずっと負けん気があるし、芯も強い。
それでいて、指導者やチームメイト、先輩などからの助言やアドバイスを謙虚に受け入れられる素直さも持っている。
渡辺俊介がプロ野球選手として活躍できたのは、身体だけではなく、心の柔軟さ、しなやかさも併せ持っていたからだと言えるだろう。
マリーンズファンならずとも、多くの野球ファンに是非読んでもらいたい一冊である。



ついでにウチらしいネタもひとつ。
女子野球でアンダースローといえば『野球狂の詩』の水原勇気だろうが、ウチ的に推すのはなんといっても『若草野球部狂想曲』のヒロイン“サブマリン・ガール”文月真由美だ。
渡辺俊介と文月真由美。この二人、どちらもアンダースローという以外にも驚くほど共通点がある。
足が遅く、打撃も苦手で、身体能力は決して高くないこと。
野球選手とは思えないひょろっとした体型をしていること。
人一倍身体が柔軟なこと(ちなみに真由美は指の関節を逆に曲げられる)。
球速よりもボールの緩急で勝負すること。
小さく落ちる変化球で狙って内野ゴロを打たせること。
要所で高めのシンカーを有効に使うこと(一般に高めに落ちる変化球を投げるのは厳禁とされる)。
などなど。無論、身体の柔軟さなどアンダースロー投手なら多くの選手が当てはまることもあるのだけど、作者の一色銀河さんが身体能力の劣る女子選手がどうすれば男子選手に通じるかを熟考し、アンダースローという特殊な投法について研究したかがよくわかる。
今なら『若草野球部狂想曲』を読んだ人の中には真由美のモデルが俊介だと思う人がいるかも知れないなあ(ちなみに『若草野球部狂想曲』第1巻の発売は2000年。俊介のプロ入り前である)。そのくらい、二人のイメージはダブる。
と、いうことはだ。俊介が真由美の魔球・AFボール(アドバンスド・ファスト・ボール)を投げられる可能性もあるってことか! うはー夢が広がりんぐ。俊介やらないかなー、トルネードからのアンダースロー。
……なんて、妄想も大概にしないと水島御大を笑えなくなっちゃいますな。

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