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2006年07月24日

『僕は野球に恋をした』

心が女の瑠璃子さんがメイプルスに入れたんだから、この作品もウチで紹介しなくては…。
というわけで、遅ればせながら感想など。

僕は野球に恋をした僕は野球に恋をした
樹生 かなめ 神葉 理世


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僕は野球に恋をした (2)僕は野球に恋をした (2)
樹生 かなめ


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主人公、及川大周は新鋭IT企業ベリル飛鳥井の社長・飛鳥井泰明の社長秘書。
彼は自分と瓜二つの容姿で大学野球で活躍していたはずの従弟・及川大河がオカマになっていることを知る。
折りしもプロ野球界は球界再編騒動の真っ最中。泰明は大河のためにプロ野球球団を持つことを決め、前代未聞のオカマ球団・飛鳥井ソルジャーズが誕生する。
新球団のGMとなった大周だが、選手はオカマと問題児だらけ、監督は飲んだくれの女好き、球団職員はゲイばかり、世間のバッシングは絶えず、オカマやゲイにはことあるごとに迫られ、彼の毎日は苦労と困難の連続だ。野球に恋をした男(とオカマ)たちの運命はいかに!? ってなストーリー。

著者の樹生かなめはBL(ボーイズラブ)作家として有名らしい(ウチの妹も知ってたし)。
この作品も表紙だけを見るとリーマンもののBL小説みたいですが(ちなみに妹に確認したらリーマンものでもBLと言うようです。エロゲを美少女ゲームと呼ぶみたいなもんでしょう)、内容はドタバタコメディといったところ。
見た目はBL小説だけども、別にその手のシーンは無いのでそっちの趣味がない人でも安心して読めるかと。せいぜい主人公がオカマに無理矢理押し倒されてキスされるくらい。

意外にも、野球やプロ野球界についての描写がしっかりしているのが大きなポイント。女性向けの野球ものって、読者が野球を知らないことが多いので、どうしても野球そのものの描写が薄い傾向がある。下手をすると著者自身が野球に詳しくなかったりするし。
しかし、この作品はその手のモノとは一線を画している。球団が発足したばかりで試合自体の描写はほとんどないのだけど、球団経営のあり方や選手とファンサービスについてなど、考えさせさせられるようなことをしっかり描いていたりして侮れない。
また、一昨年の球界再編騒動を元にして書かれているので、明らかに実在の球団や選手、人物をモデルにした名前が出てくる。ゆえに元ネタを知ってるとより楽しめる。
ああ高原浩司のモデルは岩隈だなとか、伊庭のモデルは清原だろうけどちょっとカッコよすぎるかな、みたいな楽しみ方もできる。

オカマで野球選手といえば『メイプル戦記』の瑠璃子ちゃんだけど、ところどころ『メイプル戦記』を思い出させるようなシーンがある。
ヒロイン(?)大河が150km/h超の剛速球投手で、女であることを選んで野球を捨てオカマバーで働いていたところとか、ライバル球団の選手に恋をしているところとか。
まあ、オカマの野球選手という時点である程度似通った展開になるのは当然なのだけど。別にパクリって程じゃないし(なにより『メイプル戦記』自体がパクリみたいなもんだしな)。
主人公の大周がソルジャーズのGM兼球団副社長兼ヘッドコーチ兼寮長になっちゃうのも、『メイプル戦記』を思い出させるな。……立花さんと高柳さんの仕事を両方やってんだから大周が大変なわけだわ。

気になったことをひとつ。
逞し過ぎる男の身体を悲観した大河がち○こを取る取らないで大騒ぎする、というシーンがあるのだが、そこでち○こを取ったら(=性転換したら)女の体力になって150キロの速球はとても投げられない、という会話が行われていた。
迂闊にも今までそんなこと考えたこともなかったが、実際のところどうなのだろう。そもそも性転換したら肉体的にどういう変化が起こるのかもよく知らんのだけどね。

もうひとつ気になったところ。
主人公の大周は至ってノーマルな嗜好の持ち主だが、いい男なのでオカマとゲイにやたらともててしまう。真面目で一本気の大周がオカマやゲイの積極的過ぎるアプローチに右往左往する、そんなところがこの作品の笑いどころのひとつとなっている。
私も最初はおもしろく読んでいたのだが、だんだん違和感と言うか不愉快さが募ってきた。というのも、大周に迫るオカマやゲイが、あまりにも大周の気持ちを考えず、自分の好意(あるいは性欲)を押し付け過ぎるから。他にも、ソルジャーズの球団職員(全員ゲイ)が選手に手を出し放題だから入社したと公言したりもしている点も気になった。
物語をおもしろくするために誇張しているのは判るがやりすぎの感は否めない。まるでオカマやゲイはみんな相手の気持ちを考えない身勝手な人間みたいじゃないか。
これってオカマやゲイの存在を肯定しているようで実は偏見を持って見ていると言われても仕方なくないか? 彼ら/彼女らが大周に無理矢理迫ったりする以外は基本的に善良だったり有能だったりするために尚更。
彼ら/彼女らがオカマやゲイじゃなく、ノンケの女性だったら、と仮定すれば私の言わんとする違和感が分かってもらえるだろうか。男と女の間に友情が成立するように、男とゲイの間、男とオカマの間にも当然友情は成立すると思うんだがね。
まあ、あんまり目くじら立てるようなことじゃないとは思うのだが、どうにも気になったので。

2巻が発売されてから1年ほど経つのに続刊の気配が無いのも気になるところ。
確かにどういった読者層を狙って書いているのかわからないし、ぶっちゃけ小説として絶賛できるほどおもしろいわけでもないのだが、このままフェードアウトするのも惜しい。
女子野球以上にニッチなオカマ野球ものなので、なんとか続けてほしいものだが。

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