そんなわけで昨日の戦利品の感想など。
・おおつぼマキ『Baby<ベイビィ>』(1)(2)
『ヤングチャンピオン』に連載されていたコミック。
天才的な野球少女がダメダメな野球部に入って……、という辺りは女子野球のお約束ではあるが、ヒロイン・六甲園子が関西弁を操る不良娘というのがポイント。
青年誌掲載なのでエロ描写も結構ある。園子は男子部員を挑発するし、男子部員は園子をオカズにオナニーしたりする。
野球ものとしてもそれなりに読めるが、中途半端なまま2巻で終了している。
ちなみに私の中での園子のイメージボイスは永澤菜教さん(『プリンセスナイン』の吉本ヒカル役)だ。
・高橋千鶴/矢島正雄『16歳のラストスパート』(1)(2)
20年くらい前の『少女コミック』に連載。この頃って『少コミ』って週刊だったんだー。
病気であと半年の命の美沙は残りの時間を憧れの三輪さんと同じ時間を過ごすために男装して野球部に入部する。試合を続けるたびに美沙の体は弱っていき、ついには……。
美沙ちゃん、可愛いなあ。繊細なタッチの画が私好み。少女漫画はこうでなきゃ。
美沙がなぜ天才野球少女なのか謎だったり、病気の美沙が甲子園決勝まで投げ抜くのはかなり無茶だとかいろいろありますが、クライマックスはすごいです。これだから少女漫画はあなどれない。
・弓月光『おたすけ人走る!』(3)
これも25年ほど前の『マーガレット』に連載。もちろん『マーガレット』も週刊だ。弓月光さんて少女漫画も描いてたんだね。
3巻しか無かったのでなんとも言えないですが、この頃の少女漫画のギャグマンガだなあって感じ。
・井上ひさし『突撃する女』
『たそがれやくざブルース』に収録されている短編。
初出は75年、って『野球狂の詩』とほぼ同時期。
ジャイアンツを見事最下位に導いた長島茂雄がチームの救世主として見出したのはアン大島というハーフの少女だった。
アンの年間成績が71勝8敗(ジャイアンツの勝ち数が78勝)とかバストが112cmとか突っ込みどころだらけ。ラストもぽかーん、てな話。色々な意味で時代を感じさせられる。
長島さんの愛妻っぷりが一番の見所かも。
・村上哲哉『ラスト・マジック』
新潮ファンタジー・ノベル大賞応募作。ファンタジーを冠した賞に本格野球小説を持って来るのは電撃大賞応募作の『若草野球部狂想曲』といい勝負だ。
これは女子選手ではなく女子監督もの。パ・リーグのお荷物球団の監督に女子高生・東由貴(って『プリナイ』のユキと同姓同名だね)が就任してしまう、てな話。
女子高生としては野球に詳しい由貴だが、実際に監督としてはほとんど役に立ってないのがリアルっちゃあリアル。
その分、チームに対する愛情と情熱で反発していた選手たち、そして父親の心を動かす強さを持っている。
タイトルの『ラスト・マジック』は優勝へのマジック・ナンバーと、由貴の祖父が最期に掛けた魔法とのダブルミーニング。
……バファローズも女子高生を監督にすれば消滅しなくてすんだかも。