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2011年12月09日

『天使轟臨』 シャイニー日向 リアクション03

「入ってくれるなら嬉しいけど、ホント、無理しなくていいよ。他の小さい団体の方が、気楽にやれるかも知れないしね」

香澄の言葉を受けて日向は考える。
なぜ自分が合格したのかはわからない。あの乱入してきた娘はもちろん、他のテスト生と比べても取り立てていいところがあったとは我ながら思えない。
だとしたら、やっぱり自分の持ってる<<人脈>>、いうなればコネが大きく作用した結果なのかもしれない。
そんなアンフェアな結果、やはり辞退するべきなんだろうか。

でも…。
ここで逃げていいの?
新女に入ろうが入るまいが、どうやったって両親の名前はついてくる。
両親のことを出されるたびに逃げていくの? これからずっと?
そんなのはまっぴらごめんだ。
逃げられないのなら、立ち向かってやる。
そして立ち向かうのならば、新女という自分と最も関わりの深い団体で挑むべきじゃないだろうか。

「ありがとう、香澄ちゃん。でも、私、逃げないよ。新女に入る」
「ん、そっか。歓迎するよ。ようこそ、新女へ」
「うん、でもその前にひとつだけ確かめたいことがあるんだ」

あの人に、確かめなくてはいけない…。

◇◆◇ 0 ◇◆◇

Wrestle Angels PBeM

Episode1 天使轟臨 ~Angels Flying in the Supercell~

西暦20X1年4月――

日本の女子プロレス界は、新たなうねりの中に飲み込まれつつあった。
――それは自然の流れ?
――あるいは何者かの意志?

そんな大きな渦とは関係なく……
それぞれの想いを胸に、それぞれのやりかたでプロレス界という荒波に飛び込んだ少女たち。
彼女たちの行方はいかに――

◇◆◇ 1 ◇◆◇

国内最大の女子プロレス団体【新日本女子プロレス】が都内に構える自社ビル、その一室――

「相変わらず、面白い方ね。埼玉のお嬢様は」

微笑しながら、目を通していたプロレス雑誌をテーブルに置いたのは、優美な雰囲気をたたえたスーツ姿の女性である。

「笑い事じゃありませんよ」

対照的に、雄偉な体格でラフな格好の女性が、これは苦笑いを浮かべる。

「あら、ご機嫌斜めなの? 自分が招待されなかったからって」
「まさか。こんなの、俺のガラじゃありませんし」
「ご謙遜ね。天下のミス・ビッグバンが」
「やめて下さいよ。背中がかゆくなる」

ミス・ビッグバンこと《ボンバー来島》。
新日本女子プロレスを支えるスター選手の一人である。
国内有数のパワーファイターであり、新女のブランドの一つ“Wrestlers”ではトップを張っている。
雑誌の見出しを飾っているのは、

 『賞金“市”兆円!! 空前のトーナメント開催』

という派手な文句である。

(……南のしかめっ面が目に浮かぶぜ)

来島は、昔馴染みの顔を思い出していた。
ライバル団体【JWI】がぶち上げた“一兆円トーナメント構想”。
各プロレス団体のエース選手に招待状を(一方的に)送りつけ、優勝を争わせようというのだ。
その賞金が一兆円だと言うのだが……

「それがあくまで“副賞”というのがふるっているわね」
「……ま、アイツらしいですけど」

トーナメント優勝者に与えられるのは、正確には
“《ビューティ市ヶ谷》への挑戦権”
であり、一兆円はその副賞に過ぎない、というのだ。
よくよく人を食った話といわねばならない。

「なんなら、復帰してお灸をすえてやったらどうです」
「ふふふ、まさか」

穏やかな笑みをたやさぬこの女性、一見は良家の令嬢としか見えぬが、かつては来島や市ヶ谷としのぎを削ったパワーレスラー、《伊集院 光》。
今は一線を退き、伊集院グループの一翼を担いつつ、新女の相談役として参画している。

「祐希子さんはどうするのかしら」
「どうもこうも、会社が許さないでしょうに?」

JWIが(というか市ヶ谷が)新女代表として指名してきたのは《マイティ祐希子》。
実力・人気とも隔絶した、新女の……いや、日本プロレス界の絶対的なエースである。
不倶戴天の宿敵同士である祐希子と市ヶ谷だが、今となっては、そのリング上での再会は容易ではなかろう。

「まぁ、そうでしょうね。じゃ、黙殺するということ?」
「それはないでしょう。売られた喧嘩は買うってのが、新女イズムってヤツですから」

祐希子は出さぬが、他の実力者を派遣する、と発表することは大いにありうる。
それをJWIが承諾するかどうかは、向こうの勝手だ。

「……それより、こっちの方がよっぽど厄介なんじゃないですかね」

と来島が指したのは、スポーツ新聞の裏面に躍る見出し――

 『反新女同盟結成!? 東女が図る女子プロ界下克上!!』

【東京女子プロレス】が提案し、【WARS】や【ワールド女子プロレス】らが賛意を示していると言われる、女子プロレス界における統一コミッション設立計画……通称【GPWWA】構想。

「……東京女子さんも、相変わらず食えないわね」
「ストレートじゃないだけに、やりづらいっすね」

プロレス界全体を統括するコミッションの設立……
それだけ聞けば、なかなか結構な話に聞こえる。
しかし、新女は独自にコミッショナーを認定しており、東女の提案はそれを無視したものである。
“反新女同盟”……という物言いも、まんざら的外れとは言えぬであろう。
人気面では新女に次ぐといっていい【東京女子プロレス】。
今はまだ大きな差があるが、他団体との連携を強めていけば、いずれは新女を脅かす侮れない勢力となりうるかも知れぬ。
会社は何か手を打つのであろうか?

「さぁ、どうかしらね。私の所には、何も」
(……どうだか)

伊集院のたおやかな笑みに隠された真意は、来島の知る所ではない。

「こちらが手を下さなくても、勝手に倒れてしまうかも知れないものね。【X★ドリーム】のように」
「ありましたねぇ、そんなのも」

【X★ドリーム】(エックス・ドリーム)はかつて存在したプロレス団体。
いや厳密に言えば、イベント名と言うべきであろうか。
自前の道場や選手を抱えず、フリーランスを中心に興行を行い、従来のプロレスの枠を超え、いわゆるエクストリームスポーツの一種として受け容れられ、過激なファイトスタイルで一世を風靡した。
マット界からは異端視されつつも、その勢いはただならぬものがあった……が、2年ともたず、分裂と離脱の末に消滅した。
当然参戦選手たちはバラバラになったが、その残党が何とかという団体を旗揚げしたとかしないとか。

(自然消滅だったかどうか)

かの団体を脅威とみなした新女フロントが、手を打ったことは大いに考えられる。
X★ドリームのトップとして君臨していた《八島 静香》が、団体崩壊後、新女に復帰しているのは、ただの偶然であろうか?

(……ま、いろいろあるってことだな)

来島は深く考えるのをやめた。
百鬼夜行のプロレス界、まして新女となると、これは折り紙つきの伏魔殿である。
そこで生き残る秘訣は、とことん考え尽くして立ち回るか、何も考えず感性のままに動くか、そのいずれかであろう。

(この間の会見も、ひと悶着あったしなァ)

来島は、先日行われた《パンサー理沙子》の15周年記念興行に関する記者会見での出来事を思い出していた……

◇◆◇ 2 ◇◆◇

新女の道場。
多数のレスラーたちが練習に励んでいる。

ひときわ大声を張り上げながら汗を流しているのは、練習生たち。
その中でも、とりわけ動きにキレがある少女がいる。
〈高崎 日向〉。

「いいなぁ、あの子」

練習の合間に、思わずそうつぶやいたのは《菊池 理宇》。
新女のジュニア王者である。

「ははぁん。菊池センパイのおめがねにかないました?」

合いの手を入れたのは《藤島 瞳》。
菊池とは同期だが、実力より人気で身を立てるアイドルレスラーである。

「そんな大した話じゃないけど……練習生の中じゃ、一歩抜けてるかな」
「ははぁ。さすがは理沙子はんの秘蔵っ子って所やんね」
「もう瞳より強いんじゃない?」
「……理宇も言うようになったやないの」

ひいき目抜きに、日向の動きはいい。
両親がレスラーだったというだけあって、天分というのもあるのだろう。

(いい素材だと思うけれど……)

早くも新女一流の荒波に呑まれている姿は、気の毒ではある。

「とりあえず話題性はピカイチやし、うっとこにスカウトしとこっかな~」
「……アイドルってガラじゃないと思うけどなぁ」

《キューティー金井》が率いるアイドルレスラーユニット『みるきぃ★レモン』。
そのライバルユニットとして藤島瞳が立ち上げたのが、『ハニー・トラップ』。
問題は、いまだ藤島以外メンバーが不在ということであろう。

「ま、流石にデビュー前じゃどうもならんし……他所の団体に探しに行ってみよっかな~~」
「…………」

他団体もいい迷惑だな、と菊池理宇は思った。

「……はぁ、ふぅ……っ」

掃除や洗濯などの雑用を終え、ようやく寮の部屋に戻る日向。

「おやおや。期待の超新星のお帰りなのです」

これは同室の先輩である《天神 美沙》。
二段ベッドの上段から見下ろしながら、ジト目を向けている。

「……すみません、遅くなりました」
「別にいいのです。会社からチョー期待されているチョー新星さんに、美沙のような一介の若手ごときがどうこう言える筋合いなど一切合切ありゃしないのです」
「…………」

嫌味ったらしい美沙の言葉を浴びつつ、ベッドに転がり込む。

(あんなことさえ、なければ……)

先日の出来事を思い出す……

《パンサー理沙子》。
押しも押されぬ新女の重鎮である。
日向とは遠縁の親戚であり、昔からの顔なじみであった。
新人入団テストで合格を果たした日向であるが、そこには理沙子の働きかけがあったのではないか? という疑問がぬぐえなかった。

――聞いてみよう。

理沙子に直に確認してみたい……
と思った日向であったが、以前はともかく、スター選手と新弟子の立場では接触もままならない。
しかしある日、ふいに彼女の方から呼び出しがあった。

「頑張っているみたいね」

呼び出された先は、新女オフィスの応接室。
キッチリと一分のスキなくスーツ姿に身を固めた理沙子は、年齢以上に大人びて見えた。

「っ、それより……」

気後れしながらも、理沙子の真意を問う日向。
自分を合格させたのは、縁故だけなのか?

「もちろん、実力を買ったに決まっているじゃない。後は、将来性ね」

と微笑む理沙子。

「………………」

しかし釈然としない日向。

「納得できないのなら、今からでも他所に行ったらどう?」
「……っ」
「元・新女ということなら、それなりにハクはつくかも知れないわよ」
「…………っ、私、やめないよ」

新女でがんばると決めた以上、他所に行くことなど思いもよらぬ。

「……そう」

苦笑を浮かべる理沙子。

「言っておくけれど……苦労は、多いわよ?」
「…………」

無言でうなずく日向。
この先、どんな生き方をしようと、苦労からは逃れられない。
だったら、自分から突き進んでやる。

「さて、それじゃ、行きましょうか」
「……え?」

最初の大きな『苦労』が日向を待ち受けていた――

「………………」

パシャッ! パシャ……パシャパシャ……

無数のフラッシュの洪水の中で、日向は茫然としていた。
パンサー理沙子、デビュー15周年記念興行の記者会見。
理沙子以外にも、新女のスター・ボンバー来島や、太平洋女子のブレード上原など、そうそうたる面々が席を連ねている。
その華々しい席に、なぜかちょこんと同席させられている日向。

(な、なん、で……??)

理沙子や他の選手が大会への意気込みなどを語っているが、てんで耳に入らない。

「――さて、今回の興行のテーマは、パンサー理沙子の過去、そして未来です」

「――未来の象徴として、彼女に参戦してもらうことにしました」

「高崎日向――私の親戚であり、《オリオン高崎》選手と《LUNA》選手の娘です」

「…………っ」

ひときわフラッシュの勢いが強まる。

「彼女には、第0試合でエキジビジョンマッチを闘って貰います」
「な……っ!?」

どさくさにまぎれて、何てことを!
しかしとても、口に出来る雰囲気ではない。

「そして、彼女が未来の象徴だとすれば、過去の象徴として――」
「…………!!!」

「どうも~~~~、元気にしてた、日向?」
「な……ぁ……」

久しぶりに見る母の姿に、絶句する。

「――LUNA選手が、一夜限りのカムバックを果たしてくれることとなりました」
「…………!!!!」

日向が直面する『苦労』は、予想をはるかにに超えたものであった……

◇◆◇ 3 ◇◆◇

(……あの会見以来……)

周囲の選手やスタッフの態度が微妙に違っている。
腫れ物に触るような扱いというか……何かと距離を取ってくる感じが、いたたまれなかった。

辻にも彼女の立場があるので、そうそう頼ってばかりはいられない。

美沙のように嫌味でも言ってくれるのはまだマシな方であって、あの微妙な視線はかなり辛いものがある。

(……浮いているっていえば)

同じ練習生の〈鏑木 かがり〉。
入団テストに乱入して、合格をもぎ取った剛の者。
練習中、時おり目が合うが、言葉を交わすことは滅多にない。

実力はかなりのもののはずの彼女だが、現状ではまともな練習をさせて貰っていなかった。
来る日も来る日も、練習生や若手の『投げられ役』をつとめていた。

それでも不平一つ顔に出さず、黙々と受け身を取り続けている。

彼女も周囲から浮いているが、それは日向のそれとは異質な形である。
もし自分があんな目に合っていたら……
とても、耐え切れたとは思えない。

(あの人から見たら、私なんてアマちゃんなんだろうな……)

そしてむかえた理沙子興行、舞台は日本武闘館――

(…………っ、こんな所で、試合なんて……っ)

デビュー前のド素人に、いきなり超満員1万5千人以上の大観衆の前でリングに上がれなど、無茶もいいところ。

「……っ、日向ちゃん、大丈夫……じゃ、ないよね」

先輩の辻でさえ、これほどの大観衆の前で闘った経験はない。
アドバイスのしようもなかった。

「っ、とにかく、10分一本勝負だし、なんとか頑張って!」
「……う、う……うん……」

「日向~~、調子はどう?」

無遠慮に入ってきたのは、日向の母――今はLUNAと呼ぶべきか――である。

「あ、香澄ちゃん久しぶり~。元気してたぁ?」
「は、はいっ……」
「……か、母さん……っ」
「ン? 何?」
「…………っ」

色々と言いたいことはあるのだが、あり過ぎて言葉にならない。

「どう? 流石に10ン年もブランクあるからヤバいかな~って思ってたけど、結構着られるもんよね~」

ヒラヒラ多めの水着を見せ付けてくる。
確かに、アラフォ……いやアラサーとは思えない、いい体である。

「っ、そ、それより……」
「あ、父さんから伝言。『魂でぶつかれ!』だって。相変わらずボキャ少ないよね~」
「っ、だ、だからぁ」

「……日向」
「……っ」
「嫌なら、やめていいのよ」
「……あ……」
「誰も、貴方に強要しないわ。リングに上がるかどうかは、貴方次第」
「…………」
「リングに上がれば、最悪、死ぬかも知れない。そんな所に、子供を送り出したい親はいないわ」
「……っ」
「でも、子供がそう望むんだったら、そうするしかないじゃない」

しかし、そう望んでいないにも関わらず、仕方なく上がろうなどとしているのであれば……

「足の一本もへし折って、つれて帰るしかないかなぁ~」
「…………っ」

「わ、私、は……っ!」

「…………っ」

高崎日向は、エキジビジョンマッチのリングに立った。
どうやって花道を歩いてきたのかすらおぼろげで、てんで地に足がついていない。
子供の頃はよく足を運んだ武闘館だが、まさかそのリングの上に立つことになろうとは!

「――両者、中央へ」

レフェリーを買って出ているのは理沙子である。

そして、対角線上に相対する対戦相手は――


◆第0試合

 〈高崎 日向〉(新日本女子プロレス)

 VS

 〈鏑木 かがり〉(新日本女子プロレス)


「……あたいみたいな半端者にゃァ、こんな晴れがましい舞台……荷が勝ち過ぎでさァ」

これまたデビュー前の、鏑木かがり。
肝の太い彼女も、いささか緊張の色が濃い。

「………………」

チラリ、と理沙子が日向を見つめる。

「…………っ」

強いまなざしにも目を反らさず、見つめ返す。
ふ、とわずかに理沙子が頬をゆるめた気がした。

「――新人らしい、フェアな試合を期待するわ。ファイトッ!」

理沙子がゴングを要求する。

「く……っ!」

頭が真っ白になるも、もはや本能のみで、日向は突き進んでいった……

……カン、カン、カン……

時間切れ引き分けを告げるゴングに、思わず力が抜ける。

「ハァ、ハァッ……ハァ……」

結局、いいところのないまま、時間切れに終わった。
練習で出来ていたことが、半分……いや、十分の一も出せていなかっただろう。

「とんだしょっぱい三文芝居、申し訳ないこってございやす。もっとも、木戸銭はお返しあたわず、あしからず――」

客を煽りながら引き上げるかがりには、ブーイングが飛んでいる。
新人らしからぬ反則まで繰り出しただけはあった。

一方、四方に引き上げる日向へは観客から温かい拍手が送られる。
もっとも、日向には良く分かっていた。
その拍手は「素人の女の子」に対する「よく頑張ったね」という、いたわりの拍手にすぎないと。

(……っ、絶対、もう一度……っ)

この場所に、帰ってきて見せる。

(だって、私は……)

自ら望んで、このリングに上がったのだ。
誰から強要されたわけでもない。
だからこそ、次は……自分の力で、上がってみせる。

何も出来なかった悔しさを胸に、奮闘を誓う日向だった……

日向とかがりのプレデビュー戦となったこの夜だが、多くの観衆にとって、最大のトピックはメインイベント終了後にあった。
メインで上原と組み、快勝をおさめた理沙子。
彼女が勝ち名乗りを受ける中、ふいに照明が落ちた。
スクリーンに謎のカウントダウンが映し出される。
そして、浮かびあがった文字……

「エピローグ・オブ・パンサー」

騒然とする場内、明るさを取り戻したリングの中央に仁王立ちし、スクリーンを睨みつける理沙子――
マイクを取った彼女は、

「――今夜は、ありがとうございました。私は、どこまでも、全力で駆け抜けます――」

と告げ、そのまま退場した。
その真意が分からぬまま、ざわつきの収まらない場内。

(エピローグ、って……引退……っ!?)

バックステージで試合を観ていた日向らも茫然としたまま、声もない。

これが「新女の魔物」の仕業なのかどうか――
その真実は、いまだ闇の中であった。……

2011年11月30日

2011年11月の読書メーターまとめ

11月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:3618ページ
ナイス数:18ナイス

織田信奈の野望 7 (GA文庫)織田信奈の野望 7 (GA文庫)
デレた信奈の可愛さやら光秀の残念っぷりやら信玄&四天王と氏康との絡みやら今回も盛り沢山な内容。そして物語も更に大きく動き出しそうな感じ。まだ登場してない謙信がどんなキャラになるのかも気になるところ。
読了日:11月27日 著者:春日 みかげ
よつばと! 11 (電撃コミックス)よつばと! 11 (電撃コミックス)
あーもうおもしろいなーあいかわらず! もうおもしろいとしか言う必要が無いくらいなんだけど、あえて言うなら風香の残念ぷりとやんだのよつば好きっぷりがイイ。
読了日:11月27日 著者:あずま きよひこ
僕は友達が少ない ゆにばーす (MF文庫J)僕は友達が少ない ゆにばーす (MF文庫J)
当代の人気作家&絵師によるアンソロジー。さすがにみな上手く書いてるけど、せっかくのアンソロジーなんだからもっとハッチャケても良かったんでなかろうか。一番ハッチャケてたのが原作者ってのはなー。
読了日:11月26日 著者:平坂読,裕時悠示,渡航,志瑞祐,さがら総
おおきく振りかぶって(18) (アフタヌーンKC)おおきく振りかぶって(18) (アフタヌーンKC)
相変わらず濃厚な野球描写でおもしろい。が、ライバルチームの話をこんなにじっくり描いて、いつ完結するんだろこの漫画。週刊誌でやってるならまだしも月刊誌掲載で休載してるのに。いや、ホントおもしろいんだけどね。
読了日:11月24日 著者:ひぐち アサ
学校を出よう! (6) VAMPIRE SYNDROME 電撃文庫 (0996)学校を出よう! (6) VAMPIRE SYNDROME 電撃文庫 (0996)
読了日:11月23日 著者:谷川 流
七姫物語〈第4章〉夏草話 (電撃文庫)七姫物語〈第4章〉夏草話 (電撃文庫)
読了日:11月23日 著者:高野 和
炎の蜃気楼(ミラージュ)〈29〉無間浄土 (コバルト文庫)炎の蜃気楼(ミラージュ)〈29〉無間浄土 (コバルト文庫)
ファイナルシリーズ突入。綾子ねーさん始め久々のキャラも登場。裏四国の成就によって今まで紛いなりにも現代社会の裏側で行われてきた闇戦国がこの国の在り方まで変えていく。今回はあくまで終わりの始まりだった。…ところで御屋形様はこれで退場なの?
読了日:11月16日 著者:桑原 水菜
炎の蜃気楼(ミラージュ)〈28〉怨讐(おんしゅう)の門 破壤編 (コバルト文庫) (炎の蜃気楼シリーズ)炎の蜃気楼(ミラージュ)〈28〉怨讐(おんしゅう)の門 破壤編 (コバルト文庫) (炎の蜃気楼シリーズ)
様々な人間の思惑が絡み合い、いくつもの死闘を越えて長かった四国編もついに完結。が、高耶の成した呪法によって四国は、闇戦国はどう変わったのか。次巻からはいよいよファイナルシリーズ開始とのことでどのような展開、結末が待つのか刮目。
読了日:11月13日 著者:桑原 水菜
異界兵装 タシュンケ・ウィトコ (講談社BOX)異界兵装 タシュンケ・ウィトコ (講談社BOX)
馬型巨大ロボットと少女の恋? じゃないか“not love but affection"な物語。なんというか樺さんらしいなあという作品。語るべからずところは語らない、散文的なのに詩的というか。あと、講談社BOXは箱入りなだけで高くて本のデザイン自体が簡素なのが嫌いなのだが、本作は装丁も良い。とりあえず『アイドルマスターXENOGLOSSIA』は観なければ。
読了日:11月13日 著者:樺 薫,筑波 マサヒロ
つどうメイク・マイ・デイ―フルメタル・パニック! 9 (富士見ファンタジア文庫)つどうメイク・マイ・デイ―フルメタル・パニック! 9 (富士見ファンタジア文庫)
地味で泥臭い展開が続いた前巻と違い、全員集結、2号ロボ登場と盛り上がった巻。宗介とアルのやりとりもいいけど、やっぱりラストの宗介とかなめのシーンが素晴らしいな。
読了日:11月11日 著者:賀東 招二
七姫物語〈第3章〉姫影交差 (電撃文庫)七姫物語〈第3章〉姫影交差 (電撃文庫)
この作品て、女の子になったアルスラーンと頼りないナルサスとダリューンのポジションになったクバードの『アルスラーン戦記』みたいだよなあなどと思いつつ。とはいえこの物語では武勇と知略を競い合うような戦いの展開にはならず。とはいえ、現実とはそういうものかもしれない。空澄姫以外の姫の出番も増え、タイトル通りの物語になってきた。今巻では潔い常盤姫が魅力的。
読了日:11月09日 著者:高野 和
フルメタル・パニック! 燃えるワン・マン・フォース (富士見ファンタジア文庫)フルメタル・パニック! 燃えるワン・マン・フォース (富士見ファンタジア文庫)
学園ものの空気はすっ飛んで、東南アジアの危険な街での宗介の戦いが描かれる。今作の一番の萌えキャラはどう考えてもサベージ。兵器で一番重要なのは信頼性だな。ナミは魅力的なキャラだったのに1話で退場はもったいなさすぎる。
読了日:11月04日 著者:賀東 招二
炎の蜃気楼(ミラージュ)〈27〉怨讐(おんしゅう)の門 黄壌編 (コバルト文庫)炎の蜃気楼(ミラージュ)〈27〉怨讐(おんしゅう)の門 黄壌編 (コバルト文庫)
読了日:11月03日 著者:桑原 水菜
学校を出よう!〈5〉NOT DEAD OR NOT ALIVE (電撃文庫)学校を出よう!〈5〉NOT DEAD OR NOT ALIVE (電撃文庫)
毎回色んなネタを突っ込んでくるのがおもしろい本作。このゴチャゴチャしたノリがむしろ『ハルヒ』より好きかも。今回も1話完結かと思ってたら続いてビックリした。次巻で一区切りなのかな。
読了日:11月03日 著者:谷川 流
アオバ自転車店 18巻 (ヤングキングコミックス)アオバ自転車店 18巻 (ヤングキングコミックス)
いつもの安定感。第1話の『これが私の夢の色』が好き。
読了日:11月01日 著者:宮尾 岳

2011年11月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター

2011年11月14日

女子野球いろいろ

女子野球ジャパンカップが開催され、プロを抑えて埼玉栄高が優勝しましたが、それとは何の関係もなくおなじみの女子野球ネタです。
私のTwitterをフォローしている人はご存知のネタも多いでしょうが、ここ数ヶ月の話題をつらつらと。

◆プリンセスナイン

ついにねんがんの『プリンセスナイン』DVDをてにいれたぞ!... on Twitpic
ついにねんがんの『プリンセスナイン』DVDをてにいれたぞ!

っていきなり私事ですいませんが、ついに『プリンセスナイン』のDVDをヤフオクでゲットしました。7枚セットで12000円。
いや、観るだけならバンダイチャンネルの月額見放題で観られるし、北米正規版DVDがもっと安く落札できるんだけど、国内正規版DVDには原作小説がついてるんですよ。
『プリンセスナイン』は元々実写映画化の企画で、そのために原作者の伊達憲星が書いた小説が原作になってたりします。これがどうしても読みたかったので、ヤフオクで安く落札できるチャンスをずっと待っていたのです。
とはいえ、本編も原作小説もまだ手をつけてなかったりするんですが…。時間のあるときにじっくりと堪能したいと思います。

◆正捕手の篠原さん

MF文庫新人賞審査員特別賞受賞作品。
表紙の娘さんは篠原さんではなく、ヒロインの綾坂真琴さんです。篠原さんは主人公のメガネ男子です。
基本的に2ページの短編で構成される、萌え4コマのラノベ版みたいな作品です。サクサクと気楽に読める、まあイマドキのラノベって感じですね。なかなか楽しい作品です。
MF文庫Jのサイトで序盤が立ち読みできるので、このノリが合う人は読んでみてはいかがでしょうか。

◆マックミラン高校女子硬式野球部

月刊少年マガジン2011年12月号より連載開始。初回は一挙2話公開。
主人公は女子野球部の男子マネージャー。この設定で『ドキドキプリティリーグ放課後編』を思い出すのはもはや俺とふぁうるちっぷのtomiさんくらいだろう…。
ハーレム状態なのに主人公が母性本能に溢れててみんなのお母さんになってる辺りがおもしろいですね。今後に期待。

別冊少年マガジン|マガメガ|週刊少年マガジン|TOP|講談社コミックプラス
Live High : お知らせ

◆蜂矢乙女の魔球

本屋で女子野球っぽい表紙の雑誌を発見。
帯を見ると女子野球もののマンガが載ってるっぽいじゃないですか。

調べてみると福島聡さんの『蜂矢乙女の魔球』という作品みたい。エンターブレインの雑誌FELLOWS!に連載されていて、新しく刊行された増刊のFellows!(Q)に移籍したらしい。
Fellows!はあまり置いてないし立ち読みもできないことが多いので単行本待ちかなあ。

ちなみにFellows!(Q)の表紙は高橋那津子さんという方が描いていて『蜂矢乙女の魔球』とは全然関係ないっぽい。

F E L L O W S ! フェローズ
<エンターブレイン>新人作家中心の増刊マンガ誌「Fellows!(Q)」を刊行 - BIGLOBEニュース

(追記)
その後、表紙絵に惹かれたこともあってFellows!(Q)購入しました。
『蜂矢乙女の魔球』、1話ではなんとも言えないけど過去の女子野球モノにない独特の魅力がありますな。
今回が5話目。Fellows!(Q)が季刊の予定なので、単行本化は当分先かしらね。

◆シンデレラナイン
◆ビーナスリーグ2

好みの女の子をスカウトし、全国一の野球チームを目指すソーシャルゲーム! - ファミ通.com
アメージング、「Mobage」で『ビーナスリーグ2』の提供開始 | Social Game Info

最近何かと話題のモバゲーから女子野球ゲームが2作品提供されてます。
『ビーナスリーグ』は前作を以前ちょっと紹介しましたが、今回は2作ともスマートフォンでもプレイ可能です。
知ってからすぐモバゲーに登録したんですが登録しただけで満足しちゃってどっちも手付かずです。ちゃんとプレイしたらまた感想を書きますかね。

◆球場のシンデレラ

以前も紹介した『球場(ボールパーク)のシンデレラ』が単行本化されました。
もっと続けられるネタはあったそうだけど、残念ながら1巻で完結。
さすが多くの作品の実績のある小坂さんだけあって楽しい作品に仕上がってます。

◆SHUAS

週刊アスキーと週刊アスキーの携帯サイトなどで連載されていた4コマ作品。
女子野球部の面々のゆるい日常を描いた作品ですが、野球は全くしません。というか野球要素はほぼ皆無です。
作品としてはおもしろいですが、野球ものと思って買わないように。

◆バーサス・アンダースロー

先日、新潟のメロンブックスで珍しく購入した同人誌。作者は『GUNSLINGER GIRL』の相田裕さん。ヒロインがマリーン... on Twitpic

『GUNSLINGER GIRL』でおなじみ相田裕さんの同人誌。前から気になってたのだけど、地元のメロンブックスに入荷してたのでゲット。
野球ものってわけではないけど、ヒロインの会長さんが元野球選手でアンダースロー、おまけにマリーンズファンの俊介信者という俺得同人誌なので紹介。少なくとも『SHUAS』よりは野球漫画です。
爽やかな青春モノでかなり好みの作品です。ぶっちゃけ『GUNSLINGER GIRL』よりいいかも…。
メロンブックスで通販できますので興味のある方はどぞ。

JEWEL BOX
[MelonBooks] めろんぶっくすのほ~むぺ~ぢ

◆びぎなーず9

まんがタイムきららミラク創刊号から連載されていた女子野球4コマ漫画『びぎなーず9』がvol.5にてあっさり連載終了。
さすがに5回連載で単行本は出ないだろうなあ。バックナンバーを揃えるか。

◆LUCKY STRIKE

週刊少年チャンピオン49号より連載開始した野球漫画。
リトルリーグなのでチームメイトに女子一人確認。今後の活躍に期待。

◆異界兵装タシュンケ・ウィトコ

『ぐいぐいジョーはもういない』の樺薫さんの新刊。
野球ものでは全く無いですが、登場人物のひとりが女子高校球児で過去の回想でやたらと濃い野球描写があるので紹介。さすが樺さん。好きなんだからもー。



というわけで、今年後半辺りに出た女子野球作品をどどんと紹介してみました。
今年も予想以上にいろいろな作品が現れて嬉しい悲鳴といったところです。
絶賛放置中のめがきゅーうぃきも更新しなくてはいけませんなあ。

2011年11月04日

『天使轟臨』 シャイニー日向 リアクション02

「え、あんた高校行くの?」
「なんで驚くのよ! 私はプロレスラーになんかならないって言ってるでしょ!」
「まあいいけどね。高校の学費くらいは出してあげるわよ」

そんなやりとりを経て夢の女子高生を目指して受験に挑んだ日向。ところが、受験当日に高熱が出るわ、自動車にはねられるわ、乗ってたバスがバスジャックに合うわ、産気づいた奥さんを助けたりするわで、第一志望はもちろん十分合格圏内だった滑り止めの高校まで不合格!
「あ~らら、どうすんの? 中学浪人はキツイわよ~」
「うるさいわね! わかってるわよ!」
「おとなしくレスラーになったら? 理沙子に頼めば入団テストくらいは受けさせてもらえるわよ」
「絶対プロレスラーになんかならないんだから!」
そんな啖呵を切って(いつものように)家を飛び出した日向。行く当てもなく街を彷徨う。
「ううう、ホントにどうしよう…。やっぱりレスラーになるしかないのかなあ」
実のところ、そこまでレスラーになるのが嫌というわけでもない。ただ、母親への反発と素直になれない性格が邪魔をしていた。
「そうだ。こんなときは香澄ちゃんに相談しよう!」
日向が素直になれる数少ない人物である辻香澄なら何か指針をくれるかもしれない。
日向は携帯を開き香澄に電話した……。

◇◆◇ 0 ◇◆◇

Wrestle Angels PBeM

Episode1 天使轟臨 ~Angels Flying in the Supercell~

西暦20X1年3月……

空前の盛り上がりを見せる女子プロレス界。
全国的な人気を誇る巨大団体・【新日本女子プロレス】を筆頭に、
サンダー龍子率いる【WARS】、ビューティ市ヶ谷の【JWI】、
ブレード上原が支える【太平洋女子プロレス】、
新興ながら勢いのある【東京女子プロレス】などが覇を競い、他にも小規模団体が乱立している。

そんな混迷と動乱の時代……
若さと情熱に溢れ、恐れを知らぬ少女たちが、新たに四角いジャングルへ飛び込もうとしていた。
いずれマット界に訪れる巨大な嵐の存在を知る由もなく……

◇◆◇ 1 ◇◆◇

日本プロレス界を牛耳る巨大団体・【新日本女子プロレス】!
スター選手、実力者、アイドルレスラーなどが綺羅星のごとく揃う、国内最大のプロレス団体。
テレビ放送は全国ネットで複数放送され、ドーム大会を開催出来るだけの人気を誇る。
練習施設や福利厚生も充実しており、他団体の追随を許さない。
本格派レスリングからデスマッチ、ひょうきんファイトまで多様なスタイルが許容されている。
今やその勢力は、プロレス団体の枠を超えているといっても過言ではない。

この巨大組織の新人入団テストとなると、これはもはや一つのイベントと言える。
すなわち全国の大都市にて《NJWPトライアウトキャラバン》を開催、各地の受験者は実に1000人規模を数える。
その中から、合格者となるとわずか10名に足りないと言うのだから、倍率たるや尋常なものではない。
そんなプロレス界イチの狭き門に挑む、あまたの少女たち――
勝ち残れるのは、異才と強運、そして、人並み外れた行動力が不可欠であった……

《NJWPトライアウトキャラバン・ファイナル》――
このテストは、東京・両国コロシアムで行なわれた。
厳密に言えば、3月のPPV大会
「蒲公英~Dandelion~」
の前夜祭イベントとして、である。
もとより参加出来るのは、全国のトライアウトキャラバンをサバイブしてきた、わずか数十名。
いずれ劣らぬ猛者たちが、最後の椅子を狙い、目をギラつかせている。

「――いやはや。なかなかの見ものですね」
貴賓席に陣取った金髪の女性が、隣に座る日本人女性に笑いかけた。
「さぁ。……少し、ショーアップし過ぎかも知れません」
控えめに答えたこの女性こそ、新女の、いや日本プロレス界の重鎮・《パンサー理沙子》に他ならない。
「まだまだ、おたくらと比べたら、ママゴトみたいなもんでしょうよ」
そう大笑して見せたのは、やはり新女のベテラン・《六角 葉月》である。
「御謙遜を。……うかうかしていたら、世界がNJWPに席巻されてしまいそうです」
(――良く言う)
理沙子は内心眉をひそめた。
このアメリカ人女性は《ミス・スパイク》。
新女と業務提携しているアメリカの老舗団体・【IWWF】のエージェントで、両団体の提携強化のため、新女へ出向してきている。
(……と、いうことになっちゃいるが)
どうもそう単純な人事じゃなさそうだ、と葉月はキナ臭さを感じていた。
(ま、この団体じゃ珍しくもないがね)
巨大団体であるがゆえに、新女は幾度となくスキャンダルに襲われてきた。
選手・スタッフの離脱などは日常茶飯事であり、倒産寸前まで追い込まれたことも一度や二度ではない。
そのたび、それこそ不死身のプロレスラーを体現するがごとく蘇り、現在のような隆盛を誇っている。
が、それすらも、
(……いつまで続くかしらね)
理沙子らの冷徹な目と耳は、遠からず迫りつつある波乱の兆しを感じ取っていた。
(まっ、だからって)
ジタバタしても始まらない。
その時はその時さ、と割り切りが出来ねば、新女ではやっていけないのだ。

「――それではこれより、体力テストを開始いたします」
マイクを取って仕切っているのは《ミミ吉原》。
理沙子ら同様、新女ではベテラン選手であり、十分なキャリアを持つが、ああして現場に出ることを好むタイプである。
「良く働くねェ、泉ちゃんは」
「少しでも間近で見極めたいそうよ」
「なるほどね。自分が鍛える相手だからなぁ」
吉原は選手兼任コーチとして、若手の育成にも力を発揮している。
現在新女リングを支える選手たちのほとんどは、彼女の薫陶を受けているといってよい。
「文字通りプロフェッショナルな方ですね。わが社にスカウトしたいくらいです」
ミス・スパイクの言葉は、あながちお世辞ではあるまい。

◇◆◇ 2 ◇◆◇

〈高崎 日向〉――
父はオリオン高崎(本名・高崎星児)、母はLUNA(本名・高崎月美)というプロレスラーを両親に持つ少女である。
両親によって幼い頃から鍛えられたが、そんな教育方針に反発、プロレス嫌いを公言するようになった。
が、本心ではプロレスを愛しており、自身も薄々自覚してはいるものの、なかなか素直に認められずにきた。
本来は明るく優しい性格なのだが、両親の事、プロレスの事で屈折してしまっている。
父譲りのレスリングの才能と母譲りの俊敏性を備えており、投げ技・飛び技に資質がある。
勉強は苦手で手先は不器用、人見知りするところもあるため、本人の希望とは裏腹に、ぶっちゃけプロレス以外には向いていないと言える。

そして、進路決定の時分……
高校受験に挑んだ彼女だったが、いろいろあって――
全て不合格となってしまった。

途方に暮れた彼女は、親友であり、新女所属のプロレスラーである《辻 香澄》に相談する……

「だったらウチにおいでよ~。今度、両国でテストあるから、そこに出ればいいよ」
「えっ、けど、あれって」
確か、地方予選を突破しないと参加出来ない筈では?
「あ~、大丈夫大丈夫。会社に話通しておくから」
「え、でも、そんな……」
「ボクだって、それくらいの力あるんだよ。へへ」
「だ、だけど、それってちょっと……」
ズルい気がするんだけど。
「いいのいいの。だって、プロレスは5秒まで反則OKでしょ? そういうもんだよ」
「そ、そうかなぁ~……」
裏口入学みたいで、なんだか釈然としない。
「そうそう。もっと面白い手もあるけど、それは流石にオススメしないしね。
 あ、無理矢理合格させたりとかは無理だから。後はひなっちの実力次第だよ!」

(……う~ん、どうしよう……)
せっかく辻に骨折りして貰ったものの……
なんだかフェアじゃない気がして、悶々とする。
迷いに迷った……ものの、結局、受けるだけは受けようと決意した。
(合格したら、その時になって考えればいいや)
そんな気持ちで、気まずい想いを胸に会場入りし、全国から集まった猛者たちと肩を並べる。
周囲の少女たちは同年代でありながら、いずれも一癖も二癖もありそうな面構え。
何だかひどく、自分がここにいるのが、申し訳なく思えてきた。
(……っ、でも、ここまで来て、逃げ出す訳には……)
早くテストが始まって欲しい、と祈るような気持ちでいた時、ようやく吉原によるテストの開始宣言が……

「――ちょいとお待ちいただけますかィ」

「……っっ??」
会場に突然鳴り響いた大音声。

「そのテスト――」

「どうか、あたいにも受けさせてちゃァもらえますめェか」

面妖な口上の主が、姿を見せた――

「ただテストを受けさせてくれるだけで構わねェんです」

小柄ながらも頑健そうな体躯を持つ少女である。
額から斜めに走る傷跡が、異様な迫力を与えている。
彼女はなおも、時代がかった口上を続ける――

――ずらり並んだ娘ッ子が、たったの一人増えるだけのことじゃァありやせんか。
正しい手続きだのと、ケツの穴のちィせェこたァ仰いますな。
もちろんポッと出てきて皆さんと同じ舞台に上がらせろなんてェ、
おこがましいことは言いやせん。
あたいは一段低いあがりがまちで踊らせてもらえりゃそれでいい。
結果がどうあれこの〈鏑木 かがり〉、感謝こそすれ恨みなどいたしやせん。
どうか、伏してお願い申し上げやす――

いやに堂に入った物言いである。
「……あの阿呆」
葉月は頭をかいた。
「貴方の差し金?」
「違う違う……と言いたい所だけど、そうとも言えないか」
「?」
「レスリングの後輩でさ。……岸岡さんとこで鍛えてるとは聞いてたけど」
岸岡とはかつて新女に在籍した中堅レスラー《ヴァーミリオン岸岡》のことである。
新女退団後、新団体GGJ(現在は解散)に参加、いまやトップヒールとして活躍する《ガルム小鳥遊》や《オーガ朝比奈》らを育て上げた。
現在は引退、レスリングスクールで後進を育てていると聞いていたが……
「なるほどね。……正に【GGJ】流のやり方、という所かしら」
かつてGGJ残党の小鳥遊らに試合へ乱入された経験がある理沙子は、苦笑とも微笑ともつかない頃合の笑みを浮かべた。
「ハッハー……流石はNJWP。こんな演出を用意しているとは予想外でした」
「フフッ……一寸先はハプニング、ですね」
「そりゃいいけどさ、どうすんだよ。客も騒ぎ出してるぜ」
「……泉さんが上手くやるでしょう」

「――鏑木さん、でしたね」
マイクを手にした吉原が、動じる色もなく呼びかける。
「貴方のお気持ちは分かりました――が、ルールはルールです。ここにいるテスト生たちは、各地での予選を突破して、やっとここまでたどり着いた人たちばかり」
その中に割って入るというのは、
「ちょっと、虫がいいのではありませんか?」
「――ッ」
思わず顔を伏せたのは、かがり……ではなく、日向である。
自分の事を言われている訳ではないのは、分かっているが。
かがりは顔色一つ変えるでもなく、じっと聞いていたが、こと為らずと見たか、深々と一礼するや、きびすを返す――

「――まぁ待て。お嬢ちゃん」

声が上がったのは、貴賓席である。

「ルールはルールだ。だがな」

遅刻して現れた、もう一人の新女の重鎮――

「あらゆるルール、あらゆる理屈、あらゆる常識ってヤツをブチ超えてみせるのが、プロレスってもんだろうよ――――」

《八島 静香》――新女の“影番”にして、ヒール軍団『夜叉紅蓮(ヤサグレン)』の総帥である。

「――違うかい? 御大」

「…………」

理沙子に視線を向けられ、ミミ吉原は、やれやれ、と言いたげに苦笑して肩をすくめた。
わっ、と固唾を呑んでいた観衆がいちどきに歓声をあげた……

……と、そんな“劇場”の後の、体力テストである。
さしもの歴戦の? テスト生たちも、すっかりペースを崩され、思うような結果を出せずじまい。
しからば日向がどうかといえば、
(……やっちゃった……)
よりによってこんな時に、無性に虫歯が痛み……
からっきしの結果に終わってしまった。
ちなみに、例の鏑木かがりは、ダントツでトップの成績。
どうやら乱入するだけのことはあるらしい。

続く自己アピールタイム……
これは結構、ウケた気がする。

そして、最後のスパーリング。
日向の相手となったのは、タッグチャンピオンである
《ラッキー内田》
であった。

(な、なんでよりによって、トップ級の人と……っ)

もとより勝負になる訳もなく、シャイニング弾で轟沈。
あえなく、眠らされた……

◇◆◇ 3 ◇◆◇

――目が覚めた時、彼女は支度部屋の隅に寝かされていた。

「あっ! ひなっち、おはよっ」
能天気な声をかけてきたのは、もちろん辻である。
「ぇ……あ、あー……うん」
まだ頭がクラクラする……が、痛みはほとんどない。
われながら頑丈さはなかなかのものだった。
「あ、えっと、テスト……はっ?」
「…………」
顔をそむける辻。ということは……
「……っ、だよね……不合格……」
「――な~んちゃって」
ぱっ、と笑みを向けてくる。
「おめでと、ひなっち。合格だよっ」
「え……っ?」
正直、にわかに信じられない。
自己アピール以外、全然ダメだった気がするのに……
「まぁ、ボクも基準は分かんないけど」
たぶん、いろいろな要素が絡んでるんじゃないかな、と辻は肩をすくめた。
「……そっか」
自分の力以外の要素……
両親、理沙子、辻……それらの要因が、絡んでいるのかも知れない。
「――ひょっとして、辞退しようとか、思ってる?」
「ぇ……」
「……無理には奨めないよ。新女はさ、大きすぎて、血が通ってないなって思う時もあるもん」
「…………」
「でも、一度は触れてみないと、何にも分からないだろうから、テストだけでも受けてみたらって思ってたんだけど……ね」
「…………」
「入ってくれるなら嬉しいけど、ホント、無理しなくていいよ。他の小さい団体の方が、気楽にやれるかも知れないしね」

「いやはや。なかなか刺激的なトライアウトでしたわ」
席を立ち、笑みをたたえるミス・スパイク。
「……御期待にお答え出来て幸いです」
理沙子は苦笑した。
「そういえば、いかがでした? 御親戚の方は」
「――良く、ご存じですこと」
「いえいえ。たまたま、小耳に挟んだだけです」
「それなりでした。後のことは、彼女次第でしょう」
「そうですか。……魅力的な少女でしたね」
「…………」

2011年11月02日

『天使轟臨』 シャイニー日向 キャラクター紹介

唐突ですが、レッスルバカサバイバーで行われているレッスルエンジェルスPBeM_EP1『天使轟臨』に参加してます。
PBeMを知らない人のためにザックリと説明すると、メールで行うTRPGみたいなもんですな。GM(ゲームマスター)が状況を提示し、プレイヤーがそれに対する行動を決めて、GMがさらにそれに対するリアクションを返す、ということを繰り返して物語を共同で作っていくゲームです。
参加者は現在25名。プレイヤーに対するリアクションはそれぞれのプレイヤーしか読めないのだけど、私しか読めないのはもったいないし、他のプレイヤーの人で読みたい人もいるだろうし、ということで当ブログでリアクションを随時公開していきたいと思います。
今回はプレイヤーキャラクターとなるウチの娘を紹介します。
リアクションの公開は次回をお待ちください。

名前:高崎 日向(たかさき ひなた)
リングネーム:シャイニー日向
出身地:東京
誕生日:8月23日
年齢:15歳
身長:164cm
3サイズ:82/58/84
一人称:私

素直になれないサンシャインガール。
父はオリオン高崎(本名・高崎星児)、母はLUNA(本名・高崎月美)というリングネームのプロレスラー。母は結婚後引退し日向を生んだ。現在は専業主婦。
両親により幼い頃から鍛えられたが、そんな親の教育方針に反発してプロレス嫌いを公言している。
が、本心ではプロレスを愛しており、自身も薄々自覚してはいるもののなかなか素直に認められずにいる。
本来は明るく優しい性格なのだが、両親のことやプロレスの事で屈折している。
父譲りのレスリングの才能と母譲りの俊敏性を備えており、投げ技・飛び技に資質がある。
勉強は苦手で手先は不器用、人見知りするところもあるため、本人の希望とは裏腹にぶっちゃけプロレス以外向いていない。
両親ともにプロレスラーのため、プロレス界のみならず人脈がある。もちろん本人はそのことを快くは思っていない。
パンサー理沙子は母方の遠い親戚であり、母にとっては新女の後輩でもあったため子供の頃からの付き合い。「理沙子お姉ちゃん」と呼んで慕っている。
辻香澄は家が近所だったこともあり親友。理沙子と並んで日向が素直に心情を話せる数少ない存在。
必殺技はサンライズジャーマンスープレックス(高角度ジャーマンスープレックス)。

「別に私、プロレスなんて好きじゃないし…」
「私は私よ。父さんと母さんは関係無いじゃない」
「もう…! あんまり熱くさせないでよ! 楽しくなっちゃうじゃない!」